〜第二部〜  鬼畜翁悦戯浪漫 〈國兵衛壮年編〉 

 

 

 京都市 北区。

御所の北方に位置するここは、開けた市街地よりも山や竹林の占める面積が遥かに多い。返して言えば、古い姿のままに名所旧跡が数多く残されているということでもある。

が、「鏑井守(かぶらいもり)家」という旧家が、昔はこの地域一帯の森や山のほとんどを所有していたという事実は余り知られていない。

鏑井守家はそもそも「藤原」の姓を名乗る公家(くげ)の出自で、この付近の井戸から黄金の鏑が次々と発見されたことから、朝廷よりその井戸(鏑井)を守る役目に任じられ、この地に赴任した。そして、その後に社(やしろ)が築かれて井戸そのものを祀るようになって以来、鏑井守の姓を名乗るようになった。時は平安遷都から間もない桓武天皇の御世であるから、その歴史は千二百年以上も続く相当に歴史あるものだ。そして実際に「続日本書紀」にもその名が登場する鏑井守家は、この地に広大な敷地を誇る「鏑井神社」で、代々神主を務める格式高い由緒ある家柄として以降、中世・近世・近代はもとより、昭和も戦前に至るまでその繁栄を続けたのである。

―――しかし―――、

今や、そんな在りし日の繁栄は見る影もない・・・・。

現在、鏑井神社は「廃社」となっており、残されたわずかな敷地(とは言え、廃社された神社の境内までを含めると、軽く3ヘクタールを上回る)は、高い鉄柵で囲まれ、有刺鉄線が幾重にも張り巡らされている。国道から離れた山奥に位置している為、訪れる者は誰もいない。

ところが、その敷地の南側に位置する室町庭園は今もきれいに手入れされ、大きな純和式邸宅には、ひっそりと暮らす女子供たちの姿があった。平安の世より千数百年以上も続く鏑井守一族の末裔、いや、宗家(本家)一族の正嫡縁(せいちゃくゆかり)の者たちである。

既に十年以上も前から、鏑井守の屋敷に使用人以外の「男性」は一人もいなくなっていた。戦前には二十余名が暮らした大邸宅は、今や女子供六人だけの余りに侘しい暮らしぶりである。しかし、社会の営みから完全に隔絶されたその地に暮らす彼女たちの様は、確かに貴風漂い市井の民たちと品格を別にしていた。そして充分衣食に足る暮し向きといえよう。

だが、そんな満ち足りた暮し向きの裏に隠されている『ある事実』こそが、鏑井守一族の悲劇であり、一族衰退の原因そのものだったのである。

 

〈―――そして、そこには一人の男性が深く関与していた―――〉

 

由緒ある鏑井守家の所有財産やその一族の命運は、今では完全にその男の掌中にある。そして、その歴史情緒溢れる壮大な屋敷とて、その男の京都滞在時の『離れ屋敷』と化して以来、既に久しかった。

鏑井守家の者たちにとって、その男はまさに『鬼』であった。その悪虐極まりない蛮行の数々は、『鬼畜外道(きちくげどう)』と徒名(あだな)され、恨み憎まれ、それでいて恐れられるものだったのである・・・・。 

 

 


 

 鬼 畜 翁 壮 絶 悦 戯 浪 漫

 

 十二歳の愛人物語 
パパは七十歳 

國兵衛壮年編 

 

岳瀬浩司 著 

 

 

 


 

 ―――昭和三十九年―――、

東京オリンピックの開催に日本中が沸き返っていた。

既にその頃、鏑井神社は廃社されて久しく、鏑井守家は没落の一途を辿っていた。商才に乏しかった鏑井守家四十七代目当主「近衛門」は、アズキ相場で大きな損失を被り、度重なる四倉銀行からの多額の借金も遂に返済に窮し、もはや家屋敷をいつ差し押さえられてもおかしくなかいところまで追い詰められていた。

そこへ登場したのが四倉七代目國兵衛だった。

彼は鏑井守家に対して、四倉銀行を通して引き続き融資をおこなう条件として、その家屋敷を彼の京都滞在時の「離れ屋敷」として提供させることを約束させた。それは半ば強制的なものであり、家屋敷の差し押えは免れたものの、由緒正しき鏑井守家にとって、「成り上がり者一族」の四倉國兵衛は明らかに歓迎されざる賓客だった。

東海道新幹線の開通により、國兵衛の“京遊び”の機会は増していた。足しげく祇園の花街を忍び歩く彼は、その時三十一歳。四倉本家の統領に就いて間もなくのことで、権力や財力のままに専横を揮うことに酔いしれていた時期でもあった。この頃、財力に物を言わせ、「舞妓」に上がる前の祇園の「芸子(げいこ)」たちを、数多く「水揚げ」して悦に耽った。つまり、当時から自身の年齢の半分ほどである十五、六歳の少女たちの蒼い肉体をほお張り、初瓜の苦悶に少女たちを涙させることを微塵も厭わぬ「色好みの檀那ぶり」を発揮していたのである。

が、その頃の國兵衛はまだ、自身の少女趣味を余り自覚するものではなかった。単に「初物(はつもの)」が大好きだったというだけで、当時、十八歳未満であっても「檀那(スポンサー)」が付けば舞妓が務まる時代にあっては、「処女」という御馳走は、舞妓に上がって客を取る前の「芸子」と呼ばれる少女たちの「水揚げ(芸子が舞妓に上がる際の初めての客となり、初めての男としてその肉体を開き、一人前の女にする。その代わり、その芸子が舞妓に上がる為の支度金等を全面的に提供する)」を買って出なければ味わえなかったのだ。そのような、あと腐れのない花街の女遊びの中で、國兵衛は次第に肉欲の対象年齢を自然と低齢化させていったに過ぎなかったのである。

やがて―――、そんな國兵衛が自身の少女趣味を自覚し、色欲の対象年齢を更に低下させる「運命の出会い」が訪れた―――。

東京オリンピックも無事に閉幕した秋。花街で遊ぶ目的の為に京都へとやってきた國兵衛は、滞在先としていつものように鏑井守の屋敷を訪れた。そして偶然にもこの時、これまで屋敷の中で一度も顔を合わすことが無かった巫女装束の一人の美少女を目にしたのである。彼女こそ鏑井守家四十七代目当主「近衛門」の息女「時子」であり、その時まだ十三歳の愛くるしい少女だった。

これまで時子は客人(國兵衛)が屋敷の母屋に滞在している時には、決して自分の部屋から出ないよう父「近衛門」の言い付けを固く守ってきた。が、折り悪しくも、その父が病に伏せており、屋敷に男手がまったくの手薄となっていた頃であった。

時子を一目見た國兵衛は、その愛らしくも端正な美貌に、たちまち心を奪われてしまった。何より、いつも花街の娘たちの着飾った艶姿ばかりを見ていた彼にとって、その厳粛で気品漂う巫女姿は余りに神聖で新鮮に映ったのである。

一ヵ月後―――。

鏑井守家四十七代目当主「近衛門」が病で他界した。これにより鏑井守家は益々、國兵衛に対して経済的に依存せざるを得なくなっていく。

以降も、國兵衛は相変わらず仕事の合間を見ては、足しげく京都を訪れた。さりとて、以前はあれ程盛んに通った祇園の花街には、余り顔を出さないようになっていった。

そして・・・・、それからおよそ一年後・・・・。

時子は十四歳の少女に成長していた。

が、彼女は間もなくして、当時三十二歳だった國兵衛が立ち会う屋敷の母屋の一室で、彼に片手をしっかりと握られ、苦悶に大きくその表情を歪めながら、女の未熟児を産み落としたのである・・・・。

 

 


第七章  「和音」12歳  「生き幣(いきぬさ)」の童女(わらわめ) <1>

 

 

 母「時子」は語った。

「和音(かずね)、いいこと? 決して弱音を吐いてはだめ。これは鏑井守の家に生まれた女の戦いなの。負けてはいけないの。辛い時は泣いてもかまわないわ、だって、涙も女の武器ですもの・・・・」

母の真剣な眼差しを受けて、まだ幼さ残る和音とて自身に背負わされた運命というものを漠然とながら捉えられるようになっていた。

愛くるしくも凛とした顔立ち。背丈もまだ小柄なままの十二歳。しかし、一族の長年の辛苦というものを、物心付かぬ頃より、ずっと母親の時子から聞かされ続けていたのだ。

古くさかのぼれば、摂関家や平家の台頭―――、応仁の乱、その後に続いた武家の権勢、幕末の動乱。近代に至っては東京遷都による京都の衰退、そして、戦後、GHQによる神道弾圧などの数々。

だが、歴史上の受難ばかりが鏑井守家の不幸というものではない。和音の実の母である時子は、未だ二十六歳と三十路にも至っていない。つまり、一人娘である和音を産んだのは十四の時、妊娠したのは十三の時なのである。しかし、未だに独身で結婚暦はなかった。そのことからしても、母時子が幼少の頃から悲運で波乱に満ちた半生を生き抜いてきたことは、和音の幼い目にも明白だった。

だからこそ、和音は今、母の言葉を思い起こし、緊張にその小さな身体を震わせながらも、じっと我慢していた。

住み慣れた邸宅。その奥座敷―――。賓客が訪れた時にだけ使われる十畳の和室。

巫女装束の和音。当年12歳。とても長い艶やかな黒髪を和紙の髪帯で後ろに束ね、あどけなきその表情を露わにするように前髪の“下がりば”は、肩先ほどに短く整えられて左右に分けられ、幼さ残る額すらも隠していない。そして、白き衣と紅の袴に包むその全身は、衣装にいささかも着膨れすることなく、彼女の白さ、小ささというものをありのままにしていた。

巫女姿は代々鏑井守家息女の幼代の正装だ。幼き頃より父母兄の教えのままに「御神体」を崇め祀る精神を体得させられる『習(ならわ)し』は、鏑井神社が廃社されて久しい今とて何ら変わってはいない。

和音が生まれた時、鏑井神社は既に地図の上から完全に消滅していた。が、社(やしろ)も御神体たる井戸も廃壊は免れていた。そして、彼女は母「時子」から毎日のように、神前での礼儀作法はもとより、「祓(はら)い」や「祷(ほか)い」の儀典までを相伝されて育った。千数百年以上続いた由緒ある鏑井神社の神儀や伝統を後世に遺し、いつの日か神社を復活させることこそが鏑井守一族の悲願、そして、それは幼い和音にも生まれた時より課せられている使命だったのだ。

―――広い和室の中央、就寝には余りにも早い『宵の入り』にも関わらず、既に一組の寝具が整えられていた。 

そして、賓客が訪れた時にだけ使われるこの広い和室に、和音は一人ではなかった。少女のすぐ傍には、だらしなく浴衣の前を解いてその肥え太った身を平然と晒す一人の中年男性の姿があった。

「ほおら和音、ここに横になろうな」 

そう言って、和音の小さな、本当に小さなその手を握り、彼女の身体を布団の上にゆっくりと寝かせ付けていく中年男。誰あろう、中年盛りも勇ましい四十四歳の七代目國兵衛だった・・・・。

 

 

 それは今日の昼下がりの出来事だった。

「お願いです! ウウッ、和音はまだ子供なんです! どうか情けを掛けてやってくださいまし!」

「ええいっ、まかりならぬわ! この屋敷の主人はこのワシじゃ! ワシの言う事に黙って従っておれぃっ!」

障子を隔てた渡り廊下の端に立ち、和音は母「時子」と来客の諍(いさか)う声を聞いていた。

来客とは國兵衛のこと。ここ鏑守井家の屋敷の主人として専横を揮(ふる)う恐い中年の男性。そして、和音が生まれる前の話になるが、祖父が病没するや、この屋敷を勝手に改造し、まるで監獄のような高い塀で家屋敷を囲ったばかりか、数少ない男手であった叔父たちを自殺にまで追い詰めた張本人とされる人物。

そんな恐い大人が、必ず年に一度か二度、ここへとやって来る。子供ながらにいつしか和音も彼を恐れ敬うようになっていた。何しろこの家屋敷は既に彼の所有物であり、彼の援助が無ければこの先、由緒ある鏑井守一族の歴史も潰えてしまうからだと母からずっと聞かされていたからである。

が、今回は少し様子が変だった。前回に彼がやって来てから二週間も経っていない。しかも前回、妙に自分に関心を寄せ、優しく接してきたばかりか、彼の膝の上に乗せられ、頭や肩だけでなく腹部や脚まで撫でさすられたりしたのだ。確かにこれまでにも、まるで品定めでもするかのような眼差しで、顔ばかりか身体のあちこちを舐め回すように見られたことは何回もあった。しかし、直接身体に触られるようなことは今までに一度も無かったのである。 

和音はその時も、嫌な気持ちを堪えて、國兵衛にされるまま従順にしていた。彼の機嫌を損ねてはいけないと、少し大人びた意識を持って彼に接することが少女の常だったからだ。そしてその際、彼が皺枯れた声で自身の耳元に囁いた“意味深”な言葉が、今もその心の中に引っ掛かっていた。

『フッフッ、あの頃の時子に似て可愛く育ってきたのう。もうそろそろじゃな・・・・』 

それがどういう意味なのか、和音には判らなかった。いや、判りたくないという意思が咄嗟に少女の心の中に働いていた。

以前から謎の多い人物だった「四倉國兵衛」という男性。幼い頃に和音は一時だったが、そんな彼が自分の父親ではないかと疑念を抱いた事も確かにあった。しかし、母とは余りに年齢が離れ過ぎているばかりか、中年肥りで脂ぎった体躯も勇ましい彼は、少女が心に想い描く父親像とは余りにも程遠かった。だからその時、彼がそう(父親)でないことを、自分とは赤の他人であることを、幼い頃の和音は心から願った。そしていつしか、そのような疑念は少女の心の中で完全に封印されてしまっていたのである。

しかし、この家には自分を含めて子供が三人いる。母の妹、つまり叔母の二人の子供たちだ。八歳の女の子と六歳の男の子で、和音とは従兄弟の間柄になる。そして、和音と同じように、それぞれも父親はいないとされていた。が、そのうち六歳の男の子が成長するにつれ、心なしか國兵衛にどことなく面影が似てきているのだ。それもまた、和音には余り考えたくない事だった。

このように、國兵衛という中年男性とこの家、とりわけ母や叔母たちとの関係がどういったものなのか和音はまったく知らない。自分や従妹弟たちの父親のことを尋ねようものなら、母や叔母は顔色を曇らせるばかりで、同居している祖母までも口を固く閉ざしてしまう。だからこそ和音は幼少より、自身や従妹弟たちの何やら普通ではない「特殊な生い立ち」というものを、漠然とながらも多少は自覚するようになっていたのである。

そして・・・・、何も知らされぬままに、こうして唐突にも運命の日は訪れた―――。

渡り廊下の隅で息を静め、母「時子」と國兵衛の遣り取りに耳をそばだてる和音。学校にも行かせてもらえず、平日というものも休日というものも和音の暮らしには存在しない。そして、今日「三月七日」で和音は十二歳となった。本来であれば小学6年生であり、来月からは中学生になるはずである。が、屋敷や庭、そしてそこに隣り合う廃社された鏑井神社の神殿や境内だけが、生まれてこの方、少女の生活範囲のすべてなのである。連絡もなしに國兵衛がこうして屋敷に突然やって来たことに少女もすぐに気付いた。そして、普段ならば貴賓室たる特別な和室に留まるはずの彼が、何故か母の部屋へと入っていくその後ろ姿を偶然見止め、少女は廊下の端に立ったまま、障子越しに母と國兵衛の話に耳をそばだてていたのだ。

やがて、障子越しに再び母の嗚咽混じりの声が聞こえた。

「ウウッ、まだ子供なんです。せめて、痛がって泣いたら、ウウッ、手加減を・・・・、お願いします、ウッウッウッ・・・・」 

障子越しには、そんな母の言葉に対して國兵衛の返事は聞こえなかった。しかし、和音はこの時、どうやら二人が自分の扱いに対して揉めているらしいことに気付き、何かを覚悟しなければいけないと感じていた。そして、抗弁も適わず嗚咽する母のことが、一層哀れに思えたのだった。

そして・・・・、夕刻―――。

久しぶりに母時子と入浴した和音は、母に身体の隅々はおろかその長い黒髪までも丁寧に洗ってもらった。

いつもより早い入浴や打ち沈んで口数も少なめな母の様子に、そして先程までの母と國兵衛の諍い事に、和音とて鏑井守一族の娘として、この先何かが自分の身に待ち受けていることを察知していた。そして案の定、湯上りの和音に用意されていたのは、いつもの浴衣ではなく、新調された巫女装束だったのである。

母が用意するままおとなしく内衣(うちぎぬ)に袖を通し、和音は何らその理由を問うことなく母に巫女装束を着付けられていった。そして、母の次なる行為によって、和音はこれから自分が何らかの『儀式』を務めなければならないということに更なる確信を抱いた。母時子が、いつものバスタオルではなく、香(こう)を染ませた「和紙(やわらがみ)」で和音の長い髪を梳くように拭き始めたのである。

それは格式と伝統ある鏑井神社の祭事において、巫女の潔斎を意味していた。つまりこれから「神前に身を捧げる」ということだ。

ところが―――、

「和音、いいこと? 決して弱音を吐いてはだめ。これは鏑井守の家に生まれた女の戦いなの。負けてはいけないの。辛い時は泣いてもかまわないわ、だって、涙も女の武器ですもの・・・・」

長い髪を櫛し終えた母時子は、和音の正面にしゃがみ込み、娘のあどけない顔を熱く見詰めながら真剣にそう語った。そして更に、 

「あの男に、四倉國兵衛に復讐するの! 鏑井守一族の血で四倉一族を飲み込んでしまうのよ!」 

そう母が力強く語るも、幼い和音には母の言葉の意味が判らなかった。ただ、あの國兵衛という中年男性のことを母が心底憎んでいることだけは強く伝わってきた。今までは単に恐れ敬う対象として彼の存在を受け止めるばかりだったが、こうして母が激しく憎んでいる以上、この鏑井守家にとって、そして自分にとっても、彼は歓迎されざるどころか、憎い敵のように和音には次第に思えてきたのである。

だが、そんな感情と相反するかのような母の次なる言葉に、和音は間違いなく当惑した。

「いいこと? あのスケベオヤジを和音のことで夢中にさせるの。仕事にも身が入らないくらい和音のことを好きでたまらなくするのよ。いつも可愛らしく、素直に振舞って、一人の女として、あの男の愛情を独占するのよ。あなたのお爺様たちが果たせなかった鏑井神社と鏑井守家の再興は、すべてあなたに掛かっているの、ウウウッ――」

遂には感涙する母の様を見て、和音はその幼き小さな手のひらにギュッと力をこめていた。しかし同時に、母が語った漠然としながらも余りにもショックな内容に、その細い両脚は小刻みに震え、まだ十八センチにも満たない幼く小さな足にまでその震えを伝えていた。明らかに母の言葉は、これより先の自分が、あの年配の恐い中年男性と対峙することを物語っていたからだ。

やがて浴衣所を後にした和音が母に連れられて向った先は・・・・、やはり・・・・神社の神殿ではなかった・・・・。

そこは屋敷の母屋、その長い廊下を進み、これまでは決して立ち入ってはいけないとされていた『賓客の間』(國兵衛の部屋)・・・・。その前で母は立ち止まった。

母が障子を開けると、早々と灯篭が灯されているも、そこに國兵衛の姿はなかった。どうやら貴賓専用の湯殿に行っているらしい。そして和音は、この屋敷で産声を上げて以来、初めてこの部屋に足を踏み入れたのだった。

十畳敷きの和室は広く、調度類は部屋隅に片付けられ、部屋の真ん中に一組の寝具だけが既に整えられていた。

母に促されて更に部屋の中へと足を進める和音は、意味有りげに整えられた布団の前まで来ると、ふと立ち止まり、不安そうに母の顔を見上げた。

「お母さま・・・・」

幼な声が震えていた。

時子は娘の頭を優しく撫でながら、

「恐くは無いのよ・・・・、女は皆、こうして大人になっていくものなの・・・・。和音、あなたはこれから、鏑井の巫女として檀那様(屋敷での國兵衛の呼称)にお仕えなさい。そうすれば粗相はないはずよ。これからはずっと檀那様を“御神体”と思って身をお捧げするのよ」

そう語る母に、和音は大きな矛盾を抱かざるを得なかった。そこには浴衣場で聞かされた國兵衛に対する憎悪の言葉など微塵もなかったからだ。しかも、まるで母の言葉は、あのように中年肥りも見苦しい、しかも母よりも遥かに年上である大人の男性に対して、子供の自分に夫婦(めおと)のような追従を要求しているようにしか聞き取ることが出来なかったのである。余りの矛盾に和音は、母の言葉も終わらぬうちに口を開いた。

「だって、先程お母さまは・・・・、」 

時子は娘の言葉を制するように、素早く娘の可憐な口元に自身の人差し指をそっと押し当てた。そして、更に言葉を続けた。

「あなたはまだまだ子供だから・・・・。今は、とにかくあの男のことを好きになるようにお努めしなさい。露骨に憎んでは駄目! そんな気持ちはすぐに相手にも伝わるものよ。それに、あの男を嫌いになれば嫌いになるほど、あなたが辛い想いをするだけなの。湯屋での母さんの言葉は、あなたがこれから先、辛くて挫けそうになった時だけ思い出して欲しいの。それまではずっと忘れないように胸の奥にしまっておくの。そして、そして・・・・、ウウウッ―――」

続ける言葉が余りにも辛かったのか、時子は遂に和音の小さな身体にすがるようにして泣き崩れてしまった。 

「お母さま・・・・」 

母の言葉は、まるで遺言のように重い言葉として和音の胸に響いた。が、とても十二歳にしてすべてを理解できるものではなかった。しかし、和音はこの時、母の言葉のすべてを生涯守り通していこうと、その幼な心に固く誓ったのである。 

やがて、残された時間が少ないのを知り、鼻をすすりながら時子は、膝立ちのままで和音をきつく抱き締めた。そして、

「このまま母さんがここに居ると、あの男が機嫌を損ねるわ。母さんはこの先、あなたに何もしてあげられないの。どんなことがあっても、あの男にどんなことをされても、じっと辛抱するのよ。きっと御先祖様の御霊(みたま)が、あなたを見守っていてくださるわ、ウウウッ、ウウッ―――」

そう言い残し、母時子が急いで部屋を出て行くその後ろ姿を、和音は言葉もなく一人寂しく見送った。が、ほどなくして、襖(ふすま)続きの隣りの応接間に誰かが入室する気配を和音はすぐに感じ取った。そして、息を詰めながらも鼻をすするその人物の気配に、和音は母時子が傍についてくれることを察知し、心細さを払拭したのだった。

立ったままだった和音は、居住まいを正そうと部屋の入り口である障子のすぐ脇に移動してそこに正座した。あえて部屋の真ん中に敷かれた布団の傍から離れたのは、母の言い付けどおり、この屋敷の主人たる國兵衛を敬い奉る為、その寝所に敷かれた寝具の位置を「神殿の中央」と見なしたからだ。

おろしたての巫女装束も端正に、廊下に面した障子を右側とし、正面を見据える和音。広き和室の正面に捉える襖の向うに、物音を立てず次第にその気配を鎮めつつある母の存在を大きな拠り所として、『儀式の刻』を一人待つ。

確かにここ國兵衛の部屋は、襖(ふすま)続きに隣りの応接間と繋がっていた。そちらの方へは和音も何度か入ったことがあった。前回の彼の訪問時、少女が彼の膝の上に乗せられて身体のあちこちを触られたのも、隣りの応接間での出来事だったのである。

緊張と静寂に包まれる中、和音の十二歳の思慮は巡りに巡り始めていた。以前から謎の多い人物だった四倉國兵衛という恐い中年男性。神儀に則る巫女の立場とはいえ、そんな彼と、こうして彼の寝所にて二人きりで同室する上ともなれば、もしかすると鏑井守一族との関係やその正体が今宵、自分の前にも明らかにできるかもしれなかった。そう考えると少女の心臓の鼓動は高鳴る。

やがて、締め切られた障子の向うに、誰かがスリッパ音を鳴らしながら近付いてくる。

(よくら くにべえ―――!)

十二歳の巫女姿が更に緊張に包まれる。そして、瞬時に少女の目の前の障子がスッと開いた。

「ふおうぅ、ええ湯じゃった」

開口一番、独り言のようにそう漏らす國兵衛は、自身のすぐ脇に平伏した和音の存在にたちまち気付いた。

「オッホッホッ、おろしたての巫女装束か・・・・。ほんに愛(う)いのぉ・・・・」 

頭上に響くそんな國兵衛の言葉に、和音は彼の関心が間違いなく自身に向けられていることを知り、ビクッとその小さな身体を震わせた。そして、深く平伏したまま、おそるおそるその小さな口元を動かすのだった。

「お・・・・、お帰りなさいませ、だんなさま」

そのあどけない声は小さく震えていた。母の言い付けに従うまでもなく、以前から和音の目にも國兵衛は恐い存在として映っていた。何故なら少女は、今日だけではなくこれまでにも幾度か、彼が家族の者たちに怒声を浴びせている現場を見ており、幼な心の中にも彼に対する畏怖心を大きくさせてきたからである。

「よおしよおし、(話は)判っておるようじゃナ。偉いぞゥ、イシシ・・・・。それでこそ鏑井守の娘じゃ」

「あっ・・・・」

そう言って突然、國兵衛は畳に三つ指をついて平伏する和音のその細い手首をがっちりと握り、引き立たせて部屋の中央へと連れ込もうとした。

巫女装束の小さな身体が、引きずられるように仕度の整った寝具の脇にまであっさりと運ばれた。

小柄な十二歳の少女にとって、國兵衛はまるで熊のように大きかった。生まれてこの方、外界から隔離されて育った和音にとって、屋敷の使用人である老人を除けば、男性と呼べる男性は國兵衛しか知らない。だからこそ自身の小ささを棚に上げて、少女は幼い頃から彼の巨漢さに圧倒されるばかりだったのである。が、中年盛りも勇ましい四十四歳の男性の「腕力」というものを、この時初めて和音は具体的に思い知ったのだ。

掴まれた手首を開放され、寝具の端に腰を落とした和音は、再び居住まいを正した。居慣れぬ場所に身を置きながらも、母の言い付けどおり國兵衛に対して粗相無きよう相対することに務めていた。

が、國兵衛はというと、何と和音の目の前で、着付けたばかりであろう寝衣装たる浴衣の腰帯をシュッシュッと解き始めたのである。

(―――!?)

俯き加減に控えていた和音とて、間近に相対する國兵衛の不信な挙動をすぐに気配で感じ取った。が、その意図は読み取れない。果たして、巫女の正装で仕えにきた自分同様、彼も儀式に先立って正装に着替え始めたのだろうかと考え始めたその時―――、

「ほおら和音、ここに横になろうな」 

そう言って、和音の小さな、本当に小さなその手を握り、彼女の身体を布団の上にゆっくりと寝かせ付けていこうしたのだ。

「あっ、」

國兵衛に手を引かれ体勢を崩した和音の小さな巫女姿が、横倒されるように寝床の上に仰向けられた。そして、その時、

「えっ―――!!」

少女は見た! 浴衣の前を完全にはだけさせ、ブヨブヨの贅肉をまとった腹部も露わにした四十四歳の中年男の裸体というものを! そして、未だ見慣れぬ成長した男性のシンボルたる、股間にどす黒く垂れる太くて長い異様な物体を!!

「フッフッ、待ってたぞぉ〜。こうして和音をわしのものに出来る日がくることを、ずっと、ずっとな、フンッフンッ―――」

「えっ? だ、だんなさま・・・・、?!」

國兵衛の血走った目付きが既に尋常ではないことにすぐに和音も気付いた。だらしなく裸体を晒すことにいささかも躊躇せず、鼻息を荒くしている様はまさに「神懸り」とも言える。頭の回転が速い和音は、彼のその異常さこそが、これから始まるであろう何らかの「儀式」に関係しているのではないかと考え、咄嗟に「お祓い事」を予期した。が、「祓い箱」も「払い串」も何らここには持参していない。ましてやここは霊験あらたかな御神殿ではなく、屋敷の奥座敷なのである。先の展開がまったく予想できない。

「キャッ!」

そして、それは國兵衛が迫り来ることを直感した少女の短い悲鳴と同時に起こった。布団の上に仰向く和音に彼の巨体が覆い被さってきたのだ。

「あっ、な・・・・、おやめくださ、あっ、だめっ、どうかお気をお鎮めに、あっ!」

貫禄ある巨体が小さな巫女装束に覆い被さる布団の上、巫女の袴着が衣擦れの音を大きく鳴らし始める。少女の愛らしい抗議の声が切迫し、中年男の荒々しい鼻息の中に紛れ込む。だが、無体な相手に対して、およそ十二歳とは思えぬまでに丁寧な言葉遣いを選ぶも、和音はまだ『男の欲望』というものをまったく知らなかった。学校に通うことさえ許されなかった和音にとって、母時子から教わることだけがすべてであり、その多くは学術的なものとはほど遠く、鏑井守家息女としての礼儀作法に始まり、巫女の儀礼や祭事、手習い、一族の歴史などがほとんどだったのだ。つまり、まだ初潮を迎えてもいない和音に、男と女の“みとのまぐわい”や具体的な「子作り」の方法など、殿方に嫁ぐ前の娘が知るには決して及ばない、ましてや巫女にとって「禁忌」であるからと、まったく母時子の口から教えられることは無かったのである。

「フンフンッ、かずねぇ〜っ、グフフ・・・・、ちゃんと可愛がってやるぞぉ〜」

遠慮なく和音の全身をまさぐる國兵衛の手付きに、和音の巫女装束が次第に皺寄り着乱れていく。そしてとうとう紅い袴の腰帯までが紐解かれてしまい、袴の下に着込んだ内衣までが引きづり出されてしまった。

「あっ、何をなさるのですか。これでは“今宵の儀”が・・・・」

「フオッホッ、そうかそうか、“今宵の儀”のことか。で、あればもう始まっておるぞ〜、これがその“儀式”じゃ、グフフフ―――」

「えっ?!」

國兵衛からの思いも寄らぬ返答に、和音は驚き、戸惑った。とても信じられぬことだったが、今この瞬間こそが何らかの「儀式」であるとしたならば、こうして自己の意のまま抗することは、神前に自身のすべてを供する巫女として明らかな「破戒」であるばかりか、単に國兵衛に対して粗相な振る舞いをしていることにもなるからだ。今も隣りの部屋に付いてくれているであろう母の言い付けを守るためには、これがどのような儀式であるにせよ、この不埒な中年男を「御神体」と崇め奉らなければいけない。その為には―――。

やがて、慎ましく肌身から衣服を留め置こうとする和音の小さな手が、次第に力を失っていった。と、同時に國兵衛もそんな少女の観念を察知して、少女の手をその着乱れた衣服の上から脇へと押し遣り、本格的に少女の巫女装束を脱がせに掛かった。

(えっ、そんな・・・・)

國兵衛の手によって、既に開かれてしまった白き胴服が脱がされ、襦袢たる内衣までもがめくり開かれていく。母親以外に誰の目にも晒したことのない十二歳の胸の膨らみが、遂に四十四歳の中年男の熱い視線を浴びる。

(うっ、恥ずかしい・・・・) 

それを儀式と思(おぼ)せば、そして相手を御神体と崇め奉らんば、その思春期の素直な感情を和音はどうしても抑え込まねばならなかった。しかし、その清楚な素肌はおろか十二歳の心が小刻みに震えるのをどうしようも出来ない。羞恥というものに対して余りにも敏感に育てられたからだ。決して嫁ぐ前の肌を殿方の目に晒してはいけないという母の躾は、今や少女の心にすっかりと根付いてしまっていた。

「ほお〜ぅ、良いのう、これぞ十二歳の肌ざわりじゃ・・・・、う〜む、柔らかい・・・・(チュバッ、チュッ、チュッ―――)」

「あうっ! あっ、んっ・・・・」 

突然、まだ小振りな乳房やのっぺり感も色濃い白い腹部を、國兵衛の手のひらや唇が容赦なく徘徊し、撫で回し、舐めまわし始めた。その白い、すべらかな十二歳の素肌のあらゆる部位が、四十四歳の中年男の手のひらや唇によって次々と侵蝕されていく―――。

「あっ、ヒッ、・・・・ん、キャッ、あっ!」

あどけなさも抜けきらぬ黄色い悲鳴を上げながら、和音の小さな裸体が何度も強張り、くねり、仰け反る。しかし、それが儀式の上で自分のまだ知らない「潔(きよ)め」の一種かも知れないと考えれば、和音には何ら抵抗も出来なかった。ひたすら彼の手や唇、そして舌先からもたらされるおぞましい感触に耐え忍ぶしかない。そして、じっと耐えながら母の言葉を一途なまでにそのあどけない心の中で反芻していた。 

(「檀那様を“御神体”と思って、身をお捧げする」・・・・。「檀那様を“御神体”と思って、身をお捧げする」・・・・、んっ―――) 

國兵衛の無骨な手のひらや、ぬめった舌先にその身を侵蝕されながら、和音はまるで自分の身体が「幣(ぬさ)」(神に祈る時にそなえられる供物)になっているような気持ちだった。しかし、これまで少女が教わったことのない「格式」とはいえ、本来は巫女が司るべき儀式が、俗人たろう國兵衛の仕儀となっていることに、そして、そんな彼の仕儀を施されている自分の立場が少女にはどうしても理解できなかった。さりとて、國兵衛を御神体と崇め奉る時、やはり、それに抗うことは慎まねばならない。

(チュッ、チュバッ、チュッ―――)

「んっ、ああっ、・・・・ん、ヒッ―――」

それでも國兵衛の手のひらや舌先での、和音の素肌への仕儀は尚も続いた。そして遂に和音は紅袴も脱がし取られ、内衣までも胴服と共に大きく開かれてしまい、十二歳の初々しい素肌のすべてを、惜しみなく外気に晒すことを余儀なくされてしまったのである。すべては燭灯も明るい部屋の中、一枚敷かれた白き寝具の上、開き乱れた上着(うはぎ)に袖こそ通したままなれど、もはやそれは清楚無垢なる素肌を多少も覆い隠すものではなかった。

(見られている・・・・、恥ずかしい・・・・)

痺れていく意識の中で、和音がそう思った矢先のことだ。

「あっ、キャッ!」

咄嗟のことに和音は短い悲鳴を発した。折れんばかりに細い和音の足首を國兵衛の無骨な手がガッチリと握り、そのまま上方へと押し上げながら彼女の両脚を思うがままに大きく割り開いたのだ。

「あっ、駄目です! どうか、ああっ、お許しを!」 

さすがに御神体と目する相手であっても、その場所だけは羞恥を耐え忍めば許せるというものではなかった。巫女たる重責をその言葉遣いの中に秘めつつも、少女は本能のまま咄嗟に自身の秘所を両手で覆い隠していた。

「おや? この手はどうした? 邪魔じゃのお。どおれ・・・・」

「あ、ああ・・・・」

秘所に重ねられて震える少女の小さな手は、國兵衛の詰問に破戒を意識させられ、すぐに力が完全に抜け落ちていった。そして、次々と國兵衛の手に取られ、小脇に捨ておかれ・・・・、

「ううっ、恥ずかしい・・・・」

肉付きもまだ薄い白い内腿にヒクヒクと震えを走らせながら、遂に和音は乙女の、いや、乙女にも成りきらぬ少女期の秘所を両手で覆い隠していた。

「おや? この手はどうした? 邪魔じゃのお。どおれ・・・・」

「あ、ああ・・・・」

秘所に重ねられて震える少女の小さな手は、國兵衛の詰問にたちまち破戒を意識させられ、力が完全に抜け落ちていく。次々と國兵衛の手に取られ、小脇に捨ておかれ・・・・、

「ううっ、恥ずかしい・・・・」

肉付きもまだ薄い白い内腿にヒクヒクと震えを走らせながら、遂に和音は乙女の、いや、乙女にも成りきらぬ少女期の秘所を、余すことなく國兵衛の目の前に晒した。

「おおう、めんこい“おぼぼ”じゃて。これはこれは美味そうな御馳走じゃ」

「ああ・・・・」 

和音は大切な秘部を他人に覗かれるという余りの羞恥の中、あっという間にその意識を完全に痺れさせてしまった。もはや何も考えられず、結果、まさに“神前にその身を捧げる”の直喩が如く、その小さな身体を完全に弛緩させてしまったのだ。

和音の秘部をじっくりと観察する國兵衛。当年、四十四歳―――。

彼は和音の成長というものを、ここ数年、一日千秋たる想いで待ち焦がれていた。

〈“まだ”十二歳・・・・、されど、“もう”十二歳・・・・〉 

和音の母である「時子」を手篭めにしたのは、時子が十三歳の時であり、それは國兵衛にとって初めて十五歳以下の少女を相手に愉しむ行為となった。その行為によって彼は、これまでの「初物(処女)信仰」をも超え、「少女信仰」の真髄というものを開眼するに至った。つまり、そのあどけない蒼い肉体のあちこちに幼さを色濃く残しながらも、「女」として男を迎え入れることが出来る“少女の能力”というものに、「少女の肉体の神秘」を見たのだ!

そして、それは妄信や虚事(そらごと)では決してなかった。というのも、それから半年も経たぬ間に、十四歳を迎えたばかりの時子の蒼い肉体に「ある異変」が起きた。中年盛りの國兵衛が色狂いに励むがままを「女」として受け止め続けた彼女は、彼が思いもかけぬままに、何とその幼い胎奥に「新しい命」を芽吹かせたのだ。実は、その「新しい命」こそが、現在の「和音」だったのである。

確かにわずか十四歳にしての初妊と初産は、時子の肉体にとってかなり過酷なものとなった。未熟児の早産ながら、かなりの難産だったのである。和音を産み落とす際、立ち会った國兵衛が肝を潰すくらい十四歳の時子は、泣き狂い、悶え、絶叫した。奇しくもそれはちょうど十二年前の今日のこと。今も彼の記憶に印象深く残っている。 

しかし、その時の様子は、当時の國兵衛にとってある種、とてつもない感動であった。 

(―――少女も妊娠する―――! そして、出産する!)

「女」としての当たり前を、そのあどけなく幼い肉体で体現する少女という存在の不思議さが、以来、國兵衛の偏執の的となっていった。こうして遂に彼は当時三十二歳にして、少女趣味に目覚めたのだ。

だが以降、そんな彼をしてもなかなか十三歳以下の少女に手を出すことはなかった。さすがに人身売買や誘拐といった犯罪に手を染めぬ限り、そのようなチャンスは決して訪れることがなかったからである。

それが、遂に今―――、

目の前に十二歳の少女がいる。初めての十二歳! しかも、これほどまでに愛らしい巫女装束の小柄な美少女! 確かにその出生の因を紐解けば、正真正銘、自分と血を分けた娘である。それに十二年前の今日、この可憐な少女が未熟児のままに母親時子の胎内から分娩される瞬間を、彼はしっかりと目撃していたのだ。

しかし、そもそも彼は「上方(かみがた=関西)」の家柄たる鏑井守家の血筋を四倉に入れる気など、ましてや鏑井守家を四倉一族の末席に加える気など毛頭なかった。むしろ千数百年の伝統と貴族の出自を鼻に掛け、四倉一族を「東(あずま)の成り上がり者」と見下す鏑井守一族は、まことに不愉快な存在だったのである。よって彼にしてみれば、和音は、他の愛人たちに産ませた娘とは事情も立場も違った。鏑井守一族の息女であった時子を慰み物にして、自身のその肉欲と鏑井守家に対する征服心を満たしたいだけの行為の“結果”として生まれてきた存在に他ならなかった。父親たる自覚も責任も皆無だったのだ。そして、己が欲望の行為の結果としてこの世に生まれてきた存在ゆえに、その身体を好き放題に愉しむことも可能だという目論見で、既に七年以上も前から和音の成長をずっと見守ってきたのである。

そんな國兵衛にとって幸いにも、そして、和音自身にとっては不幸にも、和音の母親ゆずりの美貌に國兵衛も面影など皆無だった。完全な母親似だ。ならばこそ、彼はこの日が来ることをずっと楽しみに待ち続けていたのだ。

内衣も今や完全に暴かれ、その幼きのっぺりとした秘芯も露わにされたままの和音。もはや声もなく、身じろぎもなく、國兵衛の熱い眼差しにその清楚な白い肌を晒したままである。

未だ味わったことのない十二歳の少女の蒼すぎる肉体・・・・。乳房もまだ幼く、恥骨の隆起もなく、発毛の兆しも見られない、まさに「幼体」そのもの・・・・。それに、和音がまだ初潮を迎えていないことも、既に國兵衛は時子に確認済みだ。あと一年、いや、あと半年だけでも、健やかなる少女の発育の進行を待つのも一考の余地が無いではない。が、我が娘たる、この美貌の無垢可憐な少女「和音」の十二歳の蒼い肉体は、今でなくては決して味わえない。この先、十三歳、十四歳と成長していくにつれて、次第にその脆弱な肉体に乙女の瑞々しさを備えていくであろう彼女の肢体というものは、その都度、その発育過程というものをたっぷりと味わうことが出来よう。しかし、初潮もそろそろ間近とするであろう彼女の十二歳の『今の味』というものは、今しか味わうことが出来ない! 日々刻々とめざましすぎる少女たちの蒼い肉体の発育やその過程は、決して以前に戻すことなど出来ないのである。

だからこそ國兵衛は、前回の訪問で和音の身体の発育程度を推し測っていたのである。そのあどけない美貌の程を嬉しそうに目を細めて愛でるだけでは物足りず、自分の膝の上に乗せて彼女の身体のあちこちを撫で、その発育具合を吟味していたのだ。そして、『旬』と呼ぶには尚早であることを承知しながらも、そんな今こそが今後二度とは味わえない「真の旬」と勝手に断じて、二週間後の今日、和音の十二歳の誕生日こそに狙いを合わせ、はるばる東京からやってきたのである。

「おお、もうこんなに育っておるのか・・・・、ゴクッ―――」

和音の幼くのっぺりとした秘裂の縁に指を添え、剥き拡げるようにその内部構造を暴いた國兵衛の目に、複雑ながらもすべてが清楚感に包まれた薄桃色の粘膜構造が映っていた。その全容は余りにも小型な“女性器”ながら、女性器とは思えぬまでの可憐さに包まれていた。まさに國兵衛が欲していた、期待していた発育具合そのものだ。

「フッフッ、どれどれ、十二歳の巫女の味はどうかな」

十二歳の幼い縦割れの内部構造を思うが侭に鑑賞した國兵衛は、ぐったりとなって動かない和音をいいことに、無防備に開脚させられたままの、まだ肉付きも薄いその両腿の間で更に顔を沈め込んでいった。そして、十二歳の少女にとって、みずからとて一度も触れたことが無いであろう女性器官の粘膜構造に、まさに今、ぬめった舌先をもって侵蝕を開始する―――!

(チュッ、ピチュッ―――)

「アウッ!」

和音の正体のない細く小さな肢体にたちまち魂が宿った。ギクンと少女の裸身が跳ねるように蠢き、あどけない声が上がる。

「あっ、あ、ああぁっ!」

(チュッ、ヌウッ、チュゥ・・・・)

國兵衛は容赦なく、和音の十二歳の秘裂粘膜を舐め、吸い、その舌触りの感触と味をたっぷりと堪能していく。それを受ける十二歳の裸身は、硬直し、くねり、何度もギクンと反り返っていく。

「いやあぁ、アウッ、ヒッ、ああぁぁっ!」

國兵衛の舌技は次第に大胆になっていった。遂には少女の未通孔や幼い陰核を覆う小さな包皮の在り処を捉え、重点的にそこを舌先でチロチロといたぶり始めた。すると、

「あ、あううぅーっ! あっ、ああああっ!」

裏返されたカエルのように無防備に仰向く少女の痩身の裸体が、黄色い喘ぎ声を発して、今までにないまでにギクンと大きく仰け反った。

「はあうぅっ! ハアハア、あっ、あ、あ、クウッ!」

その小さな手で褥(しとね)の端をぎゅっと掴み、股間を襲う未曾有の感覚に懸命に抗おうとする和音。性知識も未熟な十二歳なれど、それが「いけない行為」であるということを、既に先程から心のどこかで本能的に察知していた。しかし、巫女として神儀に臨んでいるという自身の立場が、そして母の言葉が、少女に寝床からの脱出を、國兵衛への抵抗を決して許さない。そして、まだ幼くもあどけない「初期の官能感覚」というものを、その十二歳の蒼い肉体の内からたやすく引き出す手慣れた國兵衛の淫技の前に、少女は留め置くそんな意識をたちまち四裂させ、逃亡や抵抗の迷いも完全に吹き飛ばされてしまい、結果、御神体(國兵衛)の前に幣(ぬさ=供え物)としてその身を完全に委ねてしまう。

「あうっ、あ、ハアハア・・・・」 

ようやく國兵衛の舌技からそのあどけない秘芯が開放された頃、和音の十二歳の清楚無垢なる白い素肌は完全に上気していた。まだ三月という季節や「夜冷え」が始まる時刻にあって、既に少女は薄っすらと汗ばむような湿り気をその全身に宿すまでになっていた。 

―――しかし、少女の十二歳の秘芯は、汗ばみ以上の湿り具合を中年男の目の前に露呈していた。 

「おおっ、和音は元気がいいのう。もう、こんなに垂らすまで育っておったのか・・・・」 

少女の秘裂内部をしげしげと眺めながら、國兵衛は歓喜のこもるそんな言葉を漏らした。心なしか、小さくもぽっかりと、その在り処を訴える十二歳の処女孔。その見るからに狭隘そうな内部から、國兵衛の唾液とは異なる透明の液が、トロリと垂れ流れていたのだ。

「はぁはぁはぁ・・・・」

無理やり押し広げられた両脚もそのままに、内腿をぐったりと弛緩させた和音に、國兵衛の言葉は遠く響いていた。もう、何が何なのか判らなかった。ただ、幼な心のつたない意識の内にも、もはや自分の身体はこの國兵衛という中年男によって一方的に暴かれ、征服されてしまったのだという観念じみた思いを感じていた。そして、何故か言いようのない後悔の念に心が塞がれていくのもどうしようも出来ず、思わずその大きな瞳に涙が溢れてきた、まさにその時だ!

「よおし、それではいくぞお!」

和音の股間に屈み込んでいた國兵衛はそう言うと、突然、小さな和音の細い裸身の上に覆い被さってきた。

「うっ、・・・・!」

十二歳の少女が乙女の感傷に包まれている時間は突如打ち切られた。これまで以上に強く、國兵衛の縮れて毛深い肌がぴったりと重なり合ってくるおぞましい感触、しかもブヨブヨの肥え太った巨漢に押し潰すされようとしている事態!

と、その時、のしかかってくる國兵衛の巨体が自分の上でごそごそと動き、和音は自身の股間に何か硬い物体が押し当てられたことをすぐに察知した。しかも硬いそれが、まるで自身の恥ずかしい個所を割りめくるようにしてその内側の真ん中あたりに突き当てられた、と感じた瞬間―――、

「ふうぬぅうっ!!」と國兵衛が息んだ。

たちまち股間を引き裂くような凄まじい激痛が、和音の十二歳の小柄な身体を襲う!

「カハアッ! イッ、イッ、ぎぃやあ゛あ゛ぁぁーっ―――!」

凄まじい絶叫! まさに子供の幼な声もそのままの、耳をつんざくような絶叫が、部屋の中に響き渡った。

和音に気持ちの準備も痛みへの気構えも何もあったものではなかった。少女の無知なる無防備を良しとして、國兵衛は遠慮も配慮も慈悲もなく、一気果敢な突き込みで和音の幼牝器官を突貫したのである。四十四歳の中年男が誇る、薪のような太くて硬い肉棒が、一瞬にして十二歳の少女の秘裂を裂けるがまでに大きく押し広げ、その全長を完全に少女の内部に埋没させていた。

「ガハアッ、ギッ、ぎいやああぁぁーっ――!!」

組み敷く小さな身体が硬直し、その愛くるしい幼な顔が両目をカッと見開きたまま凄まじい絶叫を何度も迸らせる。悶え暴れ始めたそれをしっかりと布団の上に抑え込み、少女の苦悶の表情を間近に見詰め、幼女貫通の悦びに酔いしれる國兵衛。彼にとって十二歳の少女を『女』にした記念すべき瞬間だ。そして今、彼の剛直と化した生殖器は、少女の十二歳の狭隘な膣構造の内部で、処女粘膜の熱潤やキツさというものにその全体が完全に包まれきっていた。

「オオッ、入ったアーッ!!」

「アウウーッ、いやああ゛あ゛―っ、おかあさまあぁぁーっ、イッ、いやああ゛あ゛―っ!!」

破瓜の絶叫に大きく歪む少女の顔は、彼に感動と興奮をもたらすばかりだ。更には、居合わせぬ母親を呼ぶその健気な幼な心までが、ひしひしと彼にも伝わっていた。処女信奉者の彼にしてみれば、破瓜の激痛に泣き狂う少女の姿は格別の御馳走であって、何ら哀れを誘うものではなかった。何しろそれは、その少女の生涯において、男にたった一度しか見せることが出来ない特別な悶絶と涙だからだ。

「かはああっ! ヴヴゥゥッ、痛いィィーっ!! イギギィィーッ!」

「オオッ、キ、キツいぃっ! よく締め付けよるっ! オオッ、」

ガッチリと組み敷き、深く貫き通した少女の上で、まだ國兵衛は和音の処女貫通における初めての膣粘膜というものを、じっと動きもせずにペニス全体で味わい取っていた。いや、とにかく抜き差しもままならないほどに十二歳の秘粘膜器官は狭くてキツく、それでいて和音の小さな身体が悶え狂う蠢きや震え、荒い息遣いによる腹部の起伏というものが、國兵衛の剛直したペニスを圧し包む和音の初粘膜にまで直に強く伝わって来ていた。抽送も不要なまでに少女の膣内(なか)は、とてつもなく気持ち良かったのである。

「イギギィィーッ! 痛いィィーっ!!」

絶叫に継ぐ絶叫を繰り返しながら、見る見る和音の愛くるしい満面に脂汗が浮かび上がっていく。そして、悶絶もやまぬあどけない少女の表情が、やがて苦悶に打ち振るように横向き、

「イギギィィーッ、グスッ、ウウウッ、おかあさまあぁっ、おかあさまああぁっ! おかあさまあぁっ、助けてぇぇっ!! イギギィィーッ!」

何と寝床から少し離れた右手の襖の方へと、居合わせぬはずの母親時子に、しつこいまでの懸命な助けを求め始めたのである。これには國兵衛も、何やら不審を抱いた。

興奮の鼻息も荒い國兵衛は、すぐに自身の鼻息を静めて耳を澄ませた。やみもせず耳元に甲高く響き続ける和音の絶叫に紛れて、隣り部屋の襖越しにわずかながら漏れ響く女のすすり泣きがどうにか聞き取れた。そのことで國兵衛はようやく、隣り部屋の襖の裏手に時子が潜んでいることに気付いたのだ。

「ほほう、時子が控えておったのか・・・・」

國兵衛はそう呟くと、何を思ったか、遂に和音の脆弱な股間に向って、ゆっくりと、しかし力強い渾身の抽送を開始した。

「グッ、あ゛あ゛ああぁぁああぁぁーっ―――!」

途端に和音のその愛らしい口元から、先程の破瓜の一撃にも劣らぬまでの凄まじい絶叫が迸った。そして國兵衛の下で、悶え、仰け反り、狂ったように再び母親に何度も助けを求め始める。

「助けてっ、おかあさまあぁぁっ! いやああぁぁあ゛あ゛ぁぁーっ、死ぬゥーッ! おかあ゛さまぁあ゛あ゛ぁぁーっ―――!!」

そんな中、和音の絶叫が大きくなればなるほど、次第に襖の向うからのすすり泣きは嗚咽へと、そして半ば号泣へと変化していくのを、國兵衛は聞き逃していなかった。が、生まれて初めて男性のペニスに抽送を許している和音の、その十二歳の膣粘膜器官の襞感覚やその熱い湿潤の具合というものをしっかりと味わい取ることも、國兵衛は決して忘れてはいなかったのである。得も言われぬ刺激がペニスを包み、ともすればあっという間に暴発の極限まで追い詰められるほどの心地良い「膣粘膜」だった。不覚にもたちまちペニスの鈴口から大量のガマン汁を「ジュワジュワ」と少女の膣内に垂れ漏らすまでになってしまった。

やがて絶叫する和音の息継ぎを見計らい、國兵衛は少女の膣内(なか)に奥深くペニスを沈め込んだまま、四回ほどでその抽送を止めた。そして、襖のほうへと顔を向けて、

「ほら時子、こうして娘がお前を呼んでおるぞ」

ほくそ笑んで、そう声を掛けたのである。すると、先程は和音のけたたましい絶叫の中にあっても、しっかりと聞き取れていた嗚咽が、突然気配を押し殺した。

襖の向うからは、鼻をすする音だけが時折漏れ聞こえるだけとなった。組み敷いて貫いている和音も、乱暴な抽送を止めたことで呻くだけになっていた。が、その呻き声は次第に弱々しくなっている。破瓜の激痛に意識が朦朧としてきているらしい。このまま和音が気絶などしてしまっては、興醒めもいいところである。

すると國兵衛は、

「ほおら時子、早くこちらへ来い! 来なければ和音がもっと・・・・、フンッ!」

言い終えるでもなく、和音の幼い秘芯に向って再び腰を揺すり前後させた。すると瞬時にして―――、

「かはあっ、あ、アウウゥーッ! いやあ゛あ゛あぁぁーっ!!」

彼に組み敷かれた白くて細い裸身がたちまち大きく仰け反り、余りにも幼さの残る甲高い絶叫を部屋全体に撒き散らす。弱りきっていた少女の肉体の覚醒に勇を得たかのように、國兵衛は遠慮なくその逞しすぎる怒張で、少女の秘芯を胎奥までえぐり! 引き出し! 再び根元まで突き込む!!

「ア゛ア゛アアァァーッ! いやああっ、たすけてえぇ、おかあさまあぁーっ!! イギャアアァァーッ―――!」

余りにも凄まじい破瓜の激痛にも、十二歳の少女は意識を失うことも許されず、脂の乗り切る中年の底力を発揮した國兵衛の抽送を、そのあどけない幼芯に許すばかりだった。必死と瀕死の狭間で、その身を引き裂かれんばかりの激痛に悶え苦しみながら、母を呼ぶ絶叫はかすれるまでになっていたその時、

(―――シャッ!)

遂に、勢いもって、隣り部屋へと続くその襖は開いた。その向う側から飛び出すようにして、國兵衛の寝所に姿を現した女性―――!

「ううっ、和音っ!」

涙に顔をくしゃくしゃにした着物姿の時子が、大柄な國兵衛に組み敷かれた娘の余りにも哀れな姿を見て一瞬立ち止まり、そして、耐えかねて意を決したようにその傍へと更に駆け寄ってきた。

「よぉし、来たか・・・・、フゥッ―――」

命令どおり時子がやって来たことを知り、國兵衛は和音への抽送を止めた。

「ウウゥーッ・・・・、ハァハァ、お、おかあ・・さま、ハァハァ・・・・」

時子の目の前、まるで高熱に浮かされたような、今にも息絶えしそうなまでに疲弊しきった娘の脂汗に塗れた幼な顔が、國兵衛の巨体の下にあった。

「ウウッ、和音っ・・・・、ううっ、ごめんなさい、ウッウッ、本当にごめんなさい・・・・」

時子は娘の余りにも悲惨な姿に、胸を詰まらせてしまい、娘に泣いてそう告げるばかりだった。そして和音は自身の呼び掛けに応えて母親がすぐ傍まで駆け付けてくれた事で、どうやら安堵したらしい。しかも同時に、自身の巫女の職責たるものを思い出したようだ。一心に詫び続ける母を見詰める少女の口からは、もはや痛みだけを訴える言葉も、助けを求めるような言葉も出ては来なかった。

こうして悲しみに包まれた母と娘の間に、それ以上の言葉が途切れたその時、

「時子や、わしの浴衣を脱がしてくれ。どうも和音(の身体)が熱うてたまらんわ」

國兵衛にとって、時子はたとえ過去にその蒼い肉体を堪能した女であっても、今や単に体(てい)の良い屋敷の女中(じょちゅう)にすぎなかった。そして、時子がたまたま娘を危惧して隣り部屋に隠れ潜んでいることを察知するや、彼女が和音の母親であることを好都合とした邪(よこしま)で冷酷非道たる考えを咄嗟にひらめき、こうして部屋に呼び寄せたのだ。

「ウウッ、グスッ・・・・、失礼致します・・・・」

時子には、國兵衛の命令に逆らうことは出来なかった。彼に命じられた通りに、彼が前重ねを大きくはだけさせたままに羽織っている浴衣を、ゆっくりと肩のほうから引き剥がしていく。と、夜冷えも始まった部屋に、たちまち熱気のこもる空気がモワァッと立ち上った。

掛け布団はまだ寝床の脇にたたまれたままだというのに、肉付きの良い國兵衛の大きな背中は、一面にすっかり汗を滲ませるまでになっていた。それもそのはず、抜き差しも困難な和音の十二歳のまだ幼く狭い秘芯に、何度も何度も怒張と化した肉棒を出し入れするにはとても気迫をこめた腰の律動を要していたからだ。更には、もがきのた打つ和音の小さな裸体をガッチリと真下に抑え込もうと、皮下脂肪もまだ薄くて安易に熱を放射する十二歳の素肌と、ぴったり密着していた為に、その発汗は並大抵ではなかった。

部屋の中は、悲しみの暗い空気に包まれていた。が、それは単に「母」と「娘」の気持ちからでしかない。弱々しい呻き声や嗚咽が響く中、國兵衛の鼻息だけは今も荒い。そして、

「これ、時子はここに座れ」

國兵衛に指さし命じられたままに、時子は寝床のすぐ枕元に着座した。顔を屈めれば國兵衛の大きな肩越しに娘「和音」の顔が、今や目を真っ赤にして悲壮な表情でこちらを見詰めている。

「ううっ、和音っ・・・・。辛いだろうけど、我慢するのよ。グスッ、ウッウッウッ」

「ハァハァ、おかあさま・・・・、う、ウウ〜ッ・・・・」

頻繁に痛みで顔をしかめる和音の小さな手を國兵衛の脇下に見付けた母時子は、思わずその小さな、本当に小さなその手をギュッと握り締めてやった。

「フフンッ! おおっ、いいぞ時子。その調子で和音を励まして、おとなしくさせておくんじゃ!」

しっかりと娘の手を握り、互いに見詰め合う母と娘の健気で不憫な姿は、國兵衛をこれまで以上に興奮させるものだった。枕元に控える和音の母時子の存在が、尚一層、十二歳の和音の幼さや子供らしさを國兵衛の心に強く実感させたのである。そしてそれ以上に、実の母親の見ている目の前で、娘のその蒼すぎる肉体のすべてを思いのままに貪り尽くし、たっぷりと味わい抜くという状況は、とてつもない興奮だった。その為に彼はわざわざ時子を部屋に呼び付けたのだ。

そんな興奮を未曾有の快楽とするべく、遂に國兵衛は再び、和音の秘芯に力強い抽送を開始した。

「うぬぬうぅっ!」

「アウウーッ! ヒギィィッ、ヴヴゥゥーッ!」

母時子の立ち会いが効を奏したのだろう、仰け反り悶える小さな裸体は、いささか先程よりも絶叫を我慢しようとしている様子だった。しかし、破瓜の激痛が未だ消えぬ為か、少しでも國兵衛が少女を抑え込む力を緩めると、のたうつ少女の裸身は自然と布団の上を上方へズリズリと這い上がろうとする。それに気付いて更に力強く少女の小さな肩先をしっかりと鷲掴みにして、その自由を制する國兵衛。そして、容赦なく少女の幼く窮屈な膣粘膜の隘路に、剛直の肉棒を根元まで突き込んでは引きずり出すかのようなダイナミックで力強い抽送を、思うが侭に繰り広げる。

(ヌチュュッ、ズニュゥゥッ、ジュブッツ―――)

「あうぅーっ、ハアハア、ウウーン、アウウゥゥーッ・・・・」

まるで高熱にうなされているかのような呻き声ばかりを次第に漏らすようになっていた和音は、余りの激痛に意識を朦朧とさせ始めていた。硬くて太く長い異物で痛みの所在を容赦なく何度もグチャグチャと突き込まれ、このまま死んでしまうかのような気持ちに包まれていた。そして、自分の末期を看取るように駆け付けてくれた母の顔をじっと見詰め続けるも、次第にその視界全体が闇に蝕まれていく。

「和音、しっかりして、あともう少しだから! 和音っ!」

虚ろになっていく娘の眼差し。時子は強く握る娘の小さな手が力を失っていることに気付き、切迫してそう声を掛けた。

和音は遠くに母親が何度も自分に呼びかけている声を聞いていた。今もその手を母に強く握られているようで、それでいて、その感覚はなかった。そして、自身の漏らす呻き声とて、まるで他人のそれのように少女の耳には遠く、徐々に聞こえなくなっていった。

その一方、和音の小さな裸体を押し潰し、少女の初めての処女孔にて思う存分、快楽の抽送に耽る國兵衛は―――、

「フンッ、フンッ、ウヌゥッ、おおっ、絡み付いてくるぅぅっ! きっ、気持ちいいッ、フフンッ、ウホオッ、オオゥッ、フフンッ!」

まるで四十男とは思えぬ情けない喘ぎ声を漏らし、その脂ぎった厳つい顔面の相を完全に緩ませきっていた。 

和音の膣内は狭くて熱くて、本当に気持ちの良い粘膜構造だった。更には少女が意識を朦朧とさせ、その身体の強張りが解(ほぐ)れていけばいくほど、少女の秘粘膜の強烈な締め付けは、柔らかく包み込む優しさをも持って國兵衛のものを隙間なく押し包み、労も軽く彼に快適自在な抽送を許すようになっていたのだ。もはや彼の目の前で繰り広げられる母娘の悲哀も、そして、少女に意識があろうとなかろうとも、そんな少女の初粘膜器官にペニスを挿入して抽送する気持ち良さの前には、どうでも良かった。

「オオッ、フンッフンッ、オホオッ、クゥッ―――!」

そしてようやく、抽送に励む國兵衛の肉体に、その瞬間は切迫したものとなった。めくるめく快感に包まれた彼の分身は、もはやそれ以上の抽送刺激に耐え切れる状態にはなく、その亀頭は限界にまで膨張し、感覚も過敏さを増幅させ、輸精管から鈴口へと続く隘路に濁流の堰開を待つ状態と化している。そして、機能的にも使い込まれた四十男のそれは、万全の体勢を持って彼の本能に起爆の刻を告げたのだ。

「うほおぉぉっ! 出るうぅぅーっ、うお、おお、ウオオオォォオダイォォーッ―――!!」

獣じみた咆哮と共に、遂に國兵衛はありったけの精汁を和音の膣内(なか)に噴出させた。四十四歳の中年男は、今まさに、吟熟した粘度の高い白濁汁を十二歳の少女の胎奥めがけて、思うが侭に撒き散らしていく―――!!

(ドッビュウウゥゥーッ!! ドッビュウウゥッ! ドドバッ! ビシュッ、ビュッ、ドグッ、ビュッ、ドクッ、ドクッ―――)

意識も虚ろとなっている熱くて小さな汗ばむそれを、折れんばかりにしっかりと抱き締め、國兵衛はその挿入をしっかり根元まで深く維持したまま、延々と射精し続けた。高ぶる鼻息をもってして、臀部をビクビクと震わせるまでの渾身の力と共に、その母親の見ている前で少女の華奢な十二歳の身体の奥に、全力で射精を繰り返す。無心だった。とにかくオスの本能が命じるままに、十二歳の女児のまだ蒼い肉体に、その幼い未成熟も明らかな狭い胎奥に、スタミナ溢れる四十四歳の濃さと量を、がむしゃらに注ぎ込んでいく―――! 

「ウウッ、和音っ、ウウウッ・・・・」 

今や完全に力を失った娘の小さな手を握り、時子は嗚咽していた。娘の顔も身体も完全に國兵衛に覆いつくされていて、ぐったりと弛緩も明らかなその白くて小さな手足でしか、娘の所在を捉える事は出来なかった。しかも娘の様子を心配する時子の目には、そんな愛する娘を押し潰して、気持ち良さそうにいつまでも娘の身体の奥に射精し続けている國兵衛の汗まみれの背中や、プルプルと小刻みに震え続ける汗まみれの臀部が、どうしても映ってしまうのだ。娘の母親として、余りにも見るに耐えない光景だった。 

「くほおぉ〜っ、・・・・、気持ち良かったあぁ〜っ・・・・」

やがて、万感たる感想を漏らしつつ、國兵衛は和音の膣内(なか)で思う存分たっぷりと射精し終え、肉体の緊張を解いて少女の上に体重を預けていった。すると、真上からまともに彼の体重を浴びて呼吸を阻まれたせいか、意識のない和音の細い胴部がヒクヒクと蠢き、手足が弱々しく動いた。

「あっ、和音っ!」

「おっとっと、」

國兵衛は和音を圧死させてしまう危険にすぐに気付き、自身の重みを再び両肘で支える姿勢へ戻した。

「うっ、ウウッ、和音・・・・、ごめんなさい、ウッウッウッ・・・・」

すぐ頭上に響くそんな時子のすすり泣く声を気にもとめず、國兵衛は和音の膣内で萎縮していく自身の肉棒に、未だ少女の秘粘膜のヒクヒクするような蠕動を味わい取り、射精の余韻をじっと愉しんでいた・・・・。

 

―――鏑井守和音、十二歳―――。端正な巫女姿も愛らしすぎた白肌の美少女・・・・。

母時子に従うままに巫女の職責と信じ、こうして臨んだ熾烈極まる儀式が、まさか巫女たる資質を完全に失う“破瓜の儀式”であったことなど、性知識も皆無な初潮前の少女には理解できるはずもなかった。

そして、少女にとってその日の出来事は、由緒ある鏑井守家の息女として生まれた故に背負わされた不幸の、単なる始まりに過ぎなかったのである・・・・。

 

 

 

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《注意》

この物語はすべてフィクションであり、登場する如何なる人物、団体、国家、人種、地名及び地域等、すべてが架空のものです。また、男性にとって有利とも受け取れる女性の心情に関する心理描写、及び身体機能の記述は、すべてが事実と異なる誤ったものです。

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