迎えのリムジンの中、國兵衛の表情は、由香利という美貌の少女と淫らな戯(たわむ)れを愉しんだ余韻に緩みきっていた。

明け方近くまでたっぷりと味わっただけに、その記憶は今も鮮明だ。今朝もいつものようにリムジンの快適な後部座席にゆったりとくつろぎながら、経済新聞を大きく広げて様々な情報を拾い読んでいるが、その表情から淫猥な薄笑みは消えることはない。

やがて神奈川県に入るや、東名高速で通勤渋滞に引っかかった。よくあることだ。が、今朝はいつになく混雑が激しい。

「東京のマーケットが開いたら起こしてくれんか」

新聞を一通り読み終えると助手席に座る秘書にそう告げ、國兵衛は快適な広い後部座席で横になった。とにかく今は少しでも睡眠時間を確保しておきたい。老人は今宵も由香利を囲った伊豆の屋敷を訪れ、その十二歳の蒼い肉体をたっぷりと愉しもうと考えていた、いや、出来ることなら今宵のうちにでも由香利の処女を散らし、具体的な肉体関係を結ぼうとまで考えていたのだ。

当然のことだが、少女たちは皆若い。そして元気で活発だ。体力も衰えた七十歳の老人にしてみれば、スタミナ面ではとても敵わない。だからこそ彼は、常日頃から無駄な体力や精力の消耗を惜しむように心掛けていた。実際、國兵衛の肉体的「男」は枯れてこそいなかったが、放出する分量、一夜にこなせる回数ともに、血気盛んな中年の頃に比べて確実に衰えている。だからこそ昨夜も國兵衛は、十二歳の由香利をイカせるだけイカせておいて、自身は一度も精を放たなかった。すべては“今宵の愉しみ”を見越した「処方」だったのである。

高速道路の渋滞は解消していくどころか、益々ひどくなった。のろのろ運転が頻繁に止まりがちになる。そんな中、リムジンの車内ではテレビの電源が入れられ、同時に“ポーン”と午前9時の時報が車中に響いた。

「会長、市場(マーケット)が開きました」

「う、ウウム・・・・」

秘書からのその言葉に、即座に反応する國兵衛。が、かなり深い眠りに落ちていたため、かなり辛そうである。

國兵衛が横になっていたリムジンの後部座席の前部には、大きな液晶パネルが設置されており、既に株式市況番組が冒頭でニューヨーク・ロンドン市場の概況説明を始めていた。総じて値動きは鈍そうだ。

ふと、國兵衛はカーテンの降ろされた後部座席の窓の外を眩しそうに探った。すると驚きの余り完全に目が醒めた。相変わらず渋滞のまま、ノロノロ運転が続いている。しかも何とまだ「中井パーキングエリア」を過ぎたところなのだ。これでは千代田区にある四倉銀行本店への出社が10時を過ぎてしまう。特に出社時刻が決められている訳ではないのだが、それよりも、今宵再び伊豆へ宿泊することやその移動に伴う疲労を考えると、東京での滞在時間の余りの短さに出社が馬鹿馬鹿しくなってきた。

「仕方がない、佐嶋(さじま)、電話だ」

國兵衛は助手席に座る秘書「佐嶋」にそう告げた。するとすぐに、

「会長、どうぞ」

という声太の返事が返ってきた。

「佐嶋」というこの秘書は、國兵衛がお忍びで若き愛人宅を訪問する際の専門の秘書だ。既に四十代の中年ぽさを漂わせているが、身長も180センチ以上で体格も立派、元警察官であり柔道2段、剣道3段、つまり、國兵衛のボディーガードも兼ねている。が、何より、坊主頭で強面(こわもて)なその厳(いか)つい容姿や屈強な体格に似合わず、細やかな気配りも出来る有能な秘書なのだ。

そんな「佐嶋」の言葉を受けて、國兵衛は落ち着き払って手元の電話器をゆっくりと手に取った。

「うむ、わしじゃが、今日は急用が出来たので顔を出せん。何かあれば佐嶋の携帯に連絡してくれ」

そう言って國兵衛は受話器を置いた。会話の相手は四倉銀行頭取、つまり「彼の息子」である。息子へのたった一本の電話だけで、こうして彼は今宵のための休息と精気を養う、いつになく高価値な時間を確保できたのである。日本有数の巨大グループ企業体の長(おさ)として絶対的な権力を未だ掌握しながら、こうして「色欲爺い」としての余生を思うが侭に満喫していけるのも、彼が本妻のみならず囲ってきた愛人たちにも長年に渡って次々と子供を産ませ続け、その子供たちを次から次へとグループ主要企業の重役に据え、己れの血を受け継ぐ子息たちばかりでグループの基盤を固めた結果である。

「佐嶋、会社はもういい。このまま葉山へ車を回せ」

「はい、かしこまりました」

佐嶋は國兵衛からの命令にそう返事をしたが、既にリムジンは左方のウインカーを点滅させ、渋滞の中を車線変更しようとしていた。佐嶋は既に、國兵衛から電話をつなぐように命じられた時点で、その電話先のみならず、彼がこのまま「葉山の別邸」へ行くだろうと先読みし、運転手に指示を出していたのである。何かと頭の切れる男だ。

強引に路側帯を走り出した黒塗りの高級外車に、周囲の車も皆遠慮がちに右へとハンドルを切って進路を開ける。阻むものなど何もなく、車体の長いリムジンは、黒塗りの光沢も鮮やかに渋滞の車の列をボディに映しながら、路側帯を滑るように走り抜けていく―――。しばらくするとリムジンの走る路側帯は次第に幅を広げ、やがて「秦野中井出口」への分離車線へとその白線の姿を変えていった。

 

國兵衛を乗せたリムジンは更にスピードを上げながら本線を遠ざかっていく―――。

 

 


 

鬼 畜 翁 壮 絶 悦 戯 浪 漫

 

 十二歳の愛人物語 
パパは七十歳 

 

岳瀬浩司 著 

 

  


 

第二章 「絵里可」12歳  〜憐れ、覚悟なき思春期の・・・・〈1〉

 

 

 

 

 〈あの日がいけなかったのだ。きっと「あの日のこと」が・・・・〉

 

 

今も「絵里可(えりか)」の心は複雑な想いで揺れ続けている。

十二歳、☆学6年生、最も繊細で多感な年頃・・・・。

身長153センチ、体重37キロ―――、しかし、それは少女が“ここ”へ連れてこられた当時のもの。今ではそのすべてが、大きく変化し始めている。が、その心は今もまだ子供のまま・・・・。

「グスッ・・・・、ウウッ、お母さん・・・・」

闇に包まれた寝室の布団の中、その小さな頭までも掛け布団ですっぽりと覆い隠し、絵里可は鼻をすすりながらポツリとそう呟く。どこまでもか細い小さな声である。しかしそれは、少女の隣りに布団を並べて眠っている彼女の「世話役兼躾役」である老婆「スヱ」を起こしてしまわぬよう少女なりに気遣ったものだ。

こうして少女が家族と離れ、“葉山のお屋敷”と称される「ここ」に暮らし始めてから、既に9ヵ月以上が経つ。この部屋での老婆と共の寝起きにも、もはや少女に抵抗感や違和感はない。が、特に最近こうして不安に寝付けぬ夜が、長く、そして、寂しく、そして・・・・恐い。今更ながら母親のことが恋しくて、寂しさばかりが少女の心に募るようになっている。

しかし、少女は自分の意思だけでは決して親元へは戻れない。こうして、ここで暮らし続けることが、大好きな「お父さん」と「お母さん」から涙ながらに頼まれたことだったのだから・・・・。そして、時折ここへやってくる「パパ」と呼ぶ老人と“仲良く遊ぶ”ことが、少女に課せられたここに暮らすための条件・・・・。その老人こそが、四倉財閥総帥にして長老の「四倉〈十三代目〉國兵衛」その人であることを、少女は未だに知らされてはいない。

どうしてこのような暮らしをしなければならなくなったのか、絵里可自身は何一つ判っていなかった。が、それは彼女が生まれながらに背負ってしまった「宿命」という他にはあるまい。何故なら、彼女の父親が務める会社は「四倉物産」。そして絵里可は既に十二歳にして、その存在がひとたび國兵衛に知られることにもなれば、決して彼が見初めずにはいられないほどの類稀な美少女だったからだ。

単に「美少女」と片付けるだけではとても評し切れぬ可憐さ、清楚さ、初々しさ―――、しなやかな長い黒髪、そして、若さ溢れる小柄な、くすみひとつない乳白色の清楚な肢体―――、そんな絵里可の十二歳のすべてが、國兵衛の『所有物』と化したのは昨年の七月。絵里可の学校が夏休みに入った直後のこと。当初は彼女の両親とて、娘の学校生活や将来のことを考え、「夏休みの間だけ」という条件があればこそ國兵衛の圧力に屈した訳だったのだが・・・・。

この屋敷に絵里可が連れてこられた当初、その未知なる性の体験への恐怖や強い背徳感の意識から、まるで幼な子のように激しく泣きじゃくったのも、今では遠い日のこと。連夜に渡って國兵衛という老人に、その初々しい十二歳の裸体を隅々まで舐め尽くされ、皺だらけの淫靡な手のひらで素肌のあちこちを侵蝕され、それが“気持ちのいい事”だと知ってしまってから、少女の心からは見る見る『性への畏怖心』が薄らいでしまった。

しかし、それも無理もない。國兵衛は言葉巧みにも所詮それが単なる“遊び(恋人ごっこ)”であると、みずからに都合の良い様々なデタラメを絵里可の耳元に吹聴して、性知識も浅い十二歳の思考を完全に丸め込んでしまったのだ。以降、國兵衛から施される猥褻極まる愛撫行為にも、絵里可は怯えて泣きじゃくることなく、それどころか十二歳の可憐な黄色い“鳴き声”と、余りに素直で新鮮な十二歳の初々しい肉体の反応で、自覚も薄い「乙女の官能」を余すことなく彼に告げるようになってしまったのである。絵里可の処女が國兵衛に散らされたのは、それから3日余り後のこと。以降、國兵衛は必ず毎週二度か三度、この「葉山の屋敷」を訪れるようになった。勿論、目的は絵里可の十二歳の清楚な肉体を心ゆくまでたっぷりと堪能する為であり、その未成熟な蒼い肢体にしっかりと“性の味”を教え込む為である。

 

―――そして・・・・、やがてそれが十二歳の少女の「蒼い肉体」に導いた「結果」とは―――。

 

(グスッ・・・・、こんなことになっちゃうなんて・・・・、きっと、お母さんやお父さんに叱られちゃうわ・・・・)

隣りにスヤスヤと穏やかな寝息を立てている世話役の老婆をよそに、なかなか眠りが訪れぬ“一人寝”の夜。それは少女にとって孤独と不安に心震わせるばかりの余りに長すぎる時間・・・・。最近では老人の訪問もめっきりと少なくなった。以前はあれほど頻繁にこの屋敷を訪れ、あれほどたくさん可愛がってくれたのに、今では週に一度来てくれるかどうか、一人寝の夜は増える一方である。

ならばこそ少女の夜は物思いに耽る時間ばかりが許され、その胸中に益々不安を募らせてしまう・・・・。老人と淫らな行為に耽ってしまったこれまでの日々、そしてその回数こそが、今更ながら少女に悔恨と自責の念を抱かせ、再びその“背徳感”というものを冷静に見詰め直すことを余儀なくさせる。

(でも、いったいどうして・・・・? もう「お爺ちゃん」だから大丈夫のはずだったのに・・・・)

『原因』は間違いなく「あの日」の「あの」ことだ。まさに「あの日の行為」「あの瞬間」こそが、まだ十二歳の幼い彼女にとって、望まずも「決定的」な“人生の分岐点”となってしまった。そのことは後日になってから、この屋敷まで彼女の往診の為にやって来るようになった“お医者さま”の「桃山先生」の口からも、既に“診察の結果”として彼女にはっきりと告げられていたことなのである。そして、その“桃山先生”とは、四十代半ばの男性医師であり、「あの日」こそに絵里可と初めて対面したばかりか、彼女の最も恥ずかしい瞬間の一部始終を見届けた人物でもあったのだ。

そんな決して忘れられぬ『あの日の出来事』こそが、今でも妙に生々しく絵里可の記憶に留まり続け、今宵も寝付けぬ彼女の脳裏にはっきりと思い起こされていくのだった・・・・。

 

 

 

 

 それは去年の12月31日、つまり、大晦日(おおみそか)の夜のことだった。年末で多忙だった國兵衛が久しぶりにここ、『葉山の屋敷』を訪れた夕食後のこと。

居間では食事を終えた絵里可と國兵衛老人が二人きりで、コタツにあたりながら物静かな団欒の刻を過ごしていた。テレビでは大晦日恒例の「紅白☆合戦」も既に後半に入っていた。が、絵里可のお気に入りである人気アイドルグループの登場も既に終えており、少女のテレビへの関心は非常に薄い。何より少女はちゃんとビデオ録画をセットしてあった。そもそも老人が帰った後でゆっくりと鑑賞するつもりでいたのだ。

「今年はいろんなことがあったわ・・・・」

コタツでミカンを剥きながら、國兵衛の隣で絵里可はしみじみそう呟いていた。

「そうじゃなあ・・・・、可愛い絵里可とこうして一緒におれるようになったことが、わしにとっては今年一番の幸せなことじゃ」

「ウフッ、パパったら、それほんとお?」

「ああ、本当じゃとも。いいや、今年一番だけではないぞ。わしの一生の中で一番嬉しいことじゃ」

「ウフッ、」

國兵衛に臆面もなくそう告げられ、絵里可は照れ笑いを浮かべながら少し俯いた。常日頃から口の達者な老人の言葉ではあるが、やはりそう言われて少女も嬉しくない筈はない。

照れる仕草も可憐な絵里可の様子をしみじみと見入りながら、國兵衛老人はふと、この少女と初めて“結合”を遂げた日のことを懐かしく思い出していた。

―――(「ウウッ、痛いッ! グスッ、おじいちゃんなんて、もう大嫌いっ!!」)―――

破瓜の激痛に泣き喚き、國兵衛老人を非難して嗚咽した頃の少女の姿はもうここにはない。未だ乙女の恥じらいも初々しいままだが、今や布団の中では老人の求めに素直に応じ、十二歳の初々しい肉体のすべてを彼に委ねきるようになっている。そして、思春期のあどけない心そのものまでも・・・・。

「本当に絵里可はいい子じゃな、可愛いのぉ・・・・」

そう言われながら、絵里可はその小さな肩を國兵衛老人に優しく抱き寄せられた。なよやかな吐息をかすかに漏らしながら、少女はその小さな頭を自然と老人の胸元に預けていく。ここまで國兵衛老人に飼い慣らされてしまった十二歳の可憐な少女。

「よおしよおし・・・・」 

まるで幼な子をあやすかのように、少女の小さな頭を優しく撫で続ける國兵衛。物言わぬまま、そんな老人の行為にウットリと身を任せるだけになってしまった絵里可は、既に切ない乙女心を揺らせるばかり―――、つまり、いつでも老人の愛撫を素直に受け入れられる気持ちになってしまっていたのだ。

しばらくはコタツにて親密に寄り添い、自然と睦み合う二人。さりとて老人の手付きはそれほど淫靡なものではなく、まるで孫娘を可愛がる老人のそれのようである。

そんな折り、老婆の声が障子越しに響いた。

「旦那様、お風呂の御用意が出来ましたよ」

それはこの屋敷に絵里可と二人きりで同居しながら彼女の世話をする「スヱ」という高齢の婦人の声であった。

スヱは絵里可の「世話役兼躾役」であったのだが、こうして國兵衛がやって来たときには彼と絵里可の「賄い役」に終始するのが常だ。日頃から礼儀作法には口うるさい老婆であったが、この時ばかりは國兵衛に付き添う絵里可のことも賓客として遇してくれる。なので絵里可も國兵衛が来た時だけは自然と心をリラックスさせることが出来た。十二歳らしい多少無邪気な振る舞いも、スヱから余り注意を受けずに済むからだ。

「ふうむ、そうだな・・・・。久しぶりじゃし、絵里可と一緒に入るとするか」

國兵衛がスヱにそう告げたのを聞いて、老人に身を預けてウットリとしていた絵里可は、言葉もなく更にその顔を俯かせた。ポッとその可憐な頬が紅く染まり始めている。

今宵の絵里可にはそれが妙に恥ずかしく思えていた。既に國兵衛とは自身の素肌をすべて許した間柄、何度となくお風呂にも一緒に入っているのだが、こうしたムードに包まれていた直後である。しみじみと今年一年を振り返っていただけに、風呂場のような明るい場所において改めて老人に自身の裸を見られるということを、どうしても意識せずにはいられないのだ。しかし、彼女はその「努め」として國兵衛が訪れた際は、彼を精一杯もてなさなければならない。それはスヱから絶えず厳しく諭され続けていること。そんなスヱの躾が少女の心根にはしっかりと根付いていた。そして同時に、“乙女の恥じらい”というものを、いつまでも大切にしなければならないということも・・・・。

「フッフッ、どうしたんじゃ絵里可。そんなに恥ずかしいのか? ん?」

自身の胸元で顔を隠す少女の仕草に、そして、黒髪の合間から可愛く覗く少女の可憐な耳許の発色に、國兵衛は少女の乙女心の機微を容易に見て取る。とかく難しい年頃といわれるが、これだけ素直で明るい性格のまま、いつまでも恥じらい深く、その可憐さと美しさにも日々更に磨きがかけられていくのを常々実感する。物言わぬまま恥じ入る乙女の仕草は、もはや十二歳とは思えないくらいにしなやかである。そんな少女のすべてが、スヱの躾と細やかな世話のおかげであることを判らぬ國兵衛ではなかった。精神面では子供同然だった絵里可を半年とかからず、よくぞここまで乙女頃の雰囲気を漂わせる、いつまでも羞恥に敏感な最高の美少女に躾てくれたものである。 

「ささ、照れてばかりおってはならんぞ。絵里可のすべてはもうパパのものなんじゃ」 

そんな老人の言葉に、静かにコクリと頷く絵里可。もはや少女とてそう思い込んでいる。だからこそ、老人に導かれるがままに今日まで過ごしてきたのだ。

〈―――そして・・・・、これからも・・・・〉

やがて、立ち上がった國兵衛にその小さな手を握られ、か細い肩を抱かれながら、俯き恥らう十二歳の少女は、主賓たる彼が訪れた時にだけ使われている屋敷の立派な“お風呂場”へと引き連れられていった。 

 

それは、その日、去年の大晦日だった12月31日。午後10時ちょうどのことである・・・・。 

 

 


 

 

 竹簀(たけす)が一面に敷き詰められた脱衣場。総檜(ひのき)のお風呂。木の香りに包まれた純木造の浴室。まるで高級旅館さながらの雰囲気である。

―――大晦日の夜、10時10分頃・・・・。

久しぶりに絵里可はそんな広い風呂に國兵衛と一緒に入った。「一緒」とはいえ、老人には先に浴室に入ってもらい、その後で衣服を脱いで前だけを白いタオルで覆い隠し、こっそりと老人の待つ浴室へと足を踏み入れていったのだが・・・・。

最初こそ老人に裸を見られることを恥ずかしがり、白いタオルで前を覆いつつ、絶えず老人の後ろへと回り込むような素振りを見せていた少女だったが、巧みな老人によって次第にそれは“なし崩し”にされ、いつしか「キャッ、キャッ」とはしゃぐ少女の黄色い声が浴室に響くようになっていた。十二歳の敏感な裸体を泡まみれにされ、皺だらけの手のひらでわざとくすぐるように撫で回されては、とても恥じらっている場合ではなかったのである。

絵里可の肌は白くて本当にきれいだ。ほくろもほとんどない。健康的な乳白色。新陳代謝も活発なようで、かけたお湯を若々しい素肌が瞬時に弾いていく。何もかもが老人とは対照的である。

靄(もや)に煙る中、そんな少女の若々しさ溢れる小柄な裸体に、國兵衛は『萌え始めた乙女の息吹き』というものを、その眼差しのみならず、手のひらでもしっかりと感じ取っていた。

やがて一緒に湯船につかる老人と少女。膝の上に少女を背後から抱っこして、まるで幼女をあやすかのように、声を合わせて数を読む。

「い〜ち、にぃ〜いっ、さあ〜ぁん―――」

皺枯れた声を追うように、屈託のない可憐な声が浴室に響く。

「二十」を数える頃には、少女の頬のみならずその首筋や肩先にまで、火照りの発色は彩りを鮮やかにさせていた。色白だけに本当にきれいな朱に染まる。既にその額や頬に汗の玉も浮かんでいる。とかく子供というのは汗かきだ。

やがて「五十」を数え終え、國兵衛は絵里可と一緒に湯から上がった。

絵里可はあわただしく國兵衛よりも先に浴室を出て行った。國兵衛はそんな少女のいじらしい後ろ姿を見送り、わずかばかり浴室に留まっておいてやる。それが少女の「恥じらい」を意味していることを熟知しているからだ。既に彼女もスヱから、女性が下着や浴衣を着付けていく様を男性にあからさまに見せるのは、とてもはしたないことだと躾られているのだろう。

しばらくすると、脱衣場の引き戸が開閉する音が浴室にまで届いた。そしてパタパタとスリッパの音が遠ざかって行く。

國兵衛はそれを聞き取ってから、再び上がり湯を浴び、浴室を後にした。

 

 

 

 

 國兵衛は脱衣場に用意されていた浴衣に身を包むと、いつもの寝所へと向った。ここ(葉山邸)に宿泊する時に用意される八畳間の純和室である。

障子を開けると既に布団が敷かれてあった。そして、湯上りで火照った顔色もそのままの絵里可が、その布団の脇に、居ずまいをやや崩してちょこんと可愛く座っていた。白い浴衣姿である。

「おお、待ってくれておったのか、ささ、早く布団に入らんと風邪を引くぞお」 

寝室には暖房が良く効いており、湯冷めする心配などないのだが、國兵衛は障子を閉めると、そう言って絵里可の傍まで近づいていった。

國兵衛老人を前にすると、座ったままの絵里可は恥ずかしそうに身を縮めて深く俯いた。小さな浴衣姿が余計に小さく老人の目に映る。 

既に絵里可も、これから何が始まるのかしっかりと理解できていた。そして、今やそれを拒む気持ちなど微塵もない。老人のリードにおとなしく身を委ねるだけである。しかし、一旦始まってしまえば無我夢中にさせられてしまう『それ』なのだが、今でもやはり始まりを前にする時はどうしても恥ずかしくてたまらないのだ。

恥ずかしそうに俯いたままの少女の頬が今も湯上りの火照りに紅く染まっている。國兵衛はそんな少女の小さな手を握ってやりながら、

「なかなか来れんで済まなかったな・・・・」 

まずはそう言って、多感で複雑な十二歳の少女の心を巧みに解きほぐしにかかった。年端もいかぬ小娘相手の雰囲気づくりなど、もはや老人には手練れたものだ。

物言わぬまま、コクリと少女のその湿ったままの小さな頭が揺れた。

「絵里可にしばらく会えんで、パパは本当に寂しかったんじゃ」

このような広い屋敷に老婦とたった二人だけで暮らす少女の方が、孤独や退屈というものをより強く感じながら過ごしてきたであろうことは間違いない。が、それを少女が訴える機先を制した國兵衛にしてみれば、そんなセリフは単なる小手先。しかし、思春期の少女の心を揺さぶるには余りあるものだ。案の定、恥ずかしげに俯いたままだった少女の顔がゆっくりと持ち上がり、少し潤みを宿したかのようなその可憐で大きな瞳が老人の熱い眼差しを正面から受け止めた。そして―――、

「・・・・パパ・・・・、あたしも寂しかったの・・・・」

老人の思い通りにその心を揺さぶられてしまった少女の可憐な口元が、思春期のまっすぐな心根をそう告げる。すべては國兵衛の目論見通り。

「絵里可・・・・」

真剣な表情と熱い眼差しでもって、しばらくは少女の可憐な訴えを受け止める國兵衛だったが、やはり愛でるは絵里可の心よりはその美貌、そして、カラダそのもの。まだ湿ったままの少女の長い黒髪。額の生え際も以前よりくっきりとなって、それがとても十二歳という年齢に似合わぬ艶やかさを醸し出すようになっている。何より、硬さばかりが目立ったその小さな身体が、以前に比べて本当に丸みを帯びてきた。浴衣姿越しにも胸のふくらみが順調に育っているのがよく判る。「少女」が「女性」へとその身を顕著に変化させていく最も旬な季節というものを、この少女の蒼い肉体が迎えようとしていることを國兵衛はつくづく実感する。

昨今の少女たちの肉体は余りにも発育が早すぎる。國兵衛はそのことを常々憂いていた。彼にしてみれば、女性の肉体が一番眩しい輝きを放つ季節とは、少女時代と冠される第二次性徴期最初の頃から、乙女の時代の直前までだ。あまり未熟過ぎてもいけないが、育ち過ぎてはもっといけない。しかし、栄養環境に恵まれた昨今の少女たちのその肉体は、昔に比べて二年以上も成長が早まっている。実際、初潮年齢が年々幼年化しているのだ。しかも、成長を早めたそんな蒼い肉体は、一年や二年であっさりと旬な季節を通り越し、成人女性にも等しいような芳醇な肉体に育ってしまうことさえある。特に十代初頭から頻繁に性体験を繰り返した少女たちの肉体は、その発育進度にも顕著に影響するものなのだ。

だからこそ、國兵衛は少女たちの蒼い肉体美を惜しむ。そこには決して貴賎の差別などはない。少女たちの「初々しく蒼い肉体」「育ち盛りの眩しい生命力の輝き」は、身を包んだ衣装になど決して左右されるものではないのである。

「んっ・・・・」 

やがて、老人と少女の間で自然と交わされる口づけ・・・・。それは軽いフレンチキス程度では到底終わらず、当然のことのように國兵衛は、内臓色にぬめる柔らかな蠢きを少女の口の中へと運び入れた。しとどに唾液を塗れさせ、よりディープに、老人のぬめった舌が少女の口の中を犯すように徘徊し、多量の唾液を少女の口内へと送り込んでいく・・・・。

「ンッ、ん・・・・」 

そして―――、

「んん・・・・、ングッ、(――コクンッ)」 

絵里可の喉が小さく鳴った。が、少女は尚もウットリとしたまま目を閉じているばかり。今や老人の生温かなそれを飲み下す行為こそが、いよいよ「あれ」が始まるという前段階の儀式のようなものであることを少女は理解している。確かに多少は気持ち悪いものであったが、我慢を強いられているという意識は以前に比べてかなり薄い。

「くふぅぅ・・・・」

ようやくと長いディープキスから開放され、可愛らしい吐息を漏らす少女だが、もはや居ずまいに芯はなく、ぐったりと老人の腕の中に身を預けるばかり。すると―――、

「あ・・・・ん・・・・」 

國兵衛にされるがまま、転がされるように布団の上に横たえられた白くて小さな浴衣姿。すかさず少女の腰帯がシュッと解かれ、老人の手が少女の襟元をめくり開いていく―――。

「あ、んっ、恥ずかしい・・・・」 

灯りも明るくついたままなれば、少女は恥じらいを口にしてギュッと固く目を閉じた。老人が自分の裸を見たがっていることをもはや少女とて理解している以上、とても灯りを消すことなど要求できない。既に絵里可の「からだ」は絵里可のものではなく、目の前にいるこの老人のものなのだ。夜の布団の中、國兵衛にたっぷりと可愛がってもらうことが、絵里可のからだの大事な「お努めごと」。躾役の「スヱ」によるそんな厳格な躾が、今や十二歳の少女の心には完全に根付いてしまっていたのだ。

「あ・・・・」

湯上りの火照りもそのままに、健康で若々しい十二歳の裸体が惜しげもなく老人の目の前に晒される。下着は何一つ身に着けてはいない。いや、糊を一切使わずに仕上げた柔らかな純白の浴衣こそが、國兵衛がこの屋敷を訪れた際、この少女に許される唯一の下着なのだ。ブラやパンティーを着けていた跡などをその素肌に微塵も残さぬように努めるそんな細やかな配慮とて、スヱから躾を施された少女の、閨事(ねやごと)に臨む際の“身だしなみ”なのである。

明るい中、小さな両手を左右に力なく投げ置いたまま、絵里可は自身の裸体をしげしげと観察する老人の淫靡な眼差しをじっとおとなしく受け止める。湯上りに火照った少女の頬に、羞恥の色が更なる彩りを添えていく。

「おおぉっ、しばらく見んうちに、また成長しおったな」

絵里可の十二歳の乳房。小振りながら張りもよく、仰向いたままにも膨らみ際をくっきりとさせている。國兵衛がしばらく見ない間にまた一回り大きく成長したようだ。湯上りのせいかいつもは色素の薄い乳暈(にゅううん)も濃い桜色に染まっている。そして、そんな先端に縮こまる乳頭はピンクの清楚さをいつものものとしながらも、当初に比べて実に乙女頃の成長を顕わにしていた。

そして、更に國兵衛の熱い視線は少女の素肌をゆっくりと下へとなぞる。滑らかな白い腹部を這い、再び熱く見詰めるは少女の十二歳の秘部・・・・。 

そこに萌え始めた繊細な乙女の若草。隆起もクッキリとさせ始めた恥骨のカーブを健気に覆い隠そうとするも、余りに繊細で貧弱な生え具合のままである。そして、その直下には、まだ幼さも抜けきれぬままに秘裂の窪みを顕わにする絵里可の十二歳の少女器官が・・・・。

「ホッホッ、絵里可の“観音様”をご開帳するかのお」 

そう言って國兵衛は絵里可の細い脚を持ち上げ、そのまま膝を立てさせた。

「あっ、いやん!」

次なる事を予期した絵里可が、思わずその小さな両手で顔を覆う。と、やはり、少女の膝は老人の手によって左右に大きく押し開かれてしまった。

「オホォッ、久しぶりの絵里可の観音様じゃぁ! ほんにめんこいのお、フッフッ―――」

「あ・・あ・・・・」

こうして灯りも消さぬ明るいままの寝室で、女として最も恥ずかしい部分を老人に覗き見られること―――それは確かにいつものことではあった。が、絵里可にとって、十二歳の今こそが肉体の変化が最も顕著な時期なのだ。日一日、刻一刻と、身体のあちこちの部位に「女らしさ」を散りばめていく大切な時期。少女本人とて、自身の肉体に最も興味や関心を抱く年頃なのである。それが当人たる彼女自身よりも強い関心で、おまけに猥褻な気持ちでもってその発育状況を他人から熱く観察されるなど、たとえ相手が異性ならずともとても羞恥が薄らぐものではない。

思わず両手で顔を覆った絵里可だったが、十秒と経たぬうちにその恥じらいは完全に諦めへとうつろい、再びその小さな手が布団の上にパタリと落ちた。余りの羞恥で虚ろとなったその可憐な瞳は、もはや天井をぼんやりと見遣るだけになっている。

「ほぉーっ・・・・」

國兵衛は激しい興奮の中にも感動を新たにしていた。絵里可の十二歳の女性器官が、またしばらく見ぬ間に更なる順調な発育を遂げているように思えたからだ。

頼りなげで小さすぎた秘裂が今や縦割れの長さを延ばし、色素の沈着も薄い襞皮質をちょこんと可愛く外部に垣間見せるようにまでなっている。しかも、そこを指先でそっとめくり開いてみれば、薄桃色も綺羅らかに輝く内粘膜器官が、既に透明な液体にまみれている。処女を散らして女の体にしてから、わずか五ヶ月ばかりで、少女はディープキスや視姦だけでここまで濡れるようになったのである。

感慨深く少女の肉体的成長をひしひしと実感する國兵衛。いよいよ絵里可の“からだ”に『とある頃合の訪れ』を確信していた。いや、実を言えば、今宵こそ「あること」を試してみたいという衝動のままに、遂に固い決意を持って、こうしてここ「葉山の別邸」に絵里可を訪ねたのである。その準備にぬかりはない。何も知らぬは当の少女だけ・・・・。

國兵衛は少女たちの儚くも短すぎる「蒼い肉体美」を本当に惜しんだ。そこには決して貴賎の差別などはない。少女たちの「初々しく蒼い肉体」「育ち盛りの眩しい生命力の輝き」は、身を包んだ衣装になど決して左右されるものではないのだ。

〈―――だからこそ、みずからの手で・・・・〉

この時、絵里可はまだ何も知らなかった。だから、この日もいつものように老人と同じ布団で休み、老人にただ普段通りにたっぷりと可愛がってもらうものと信じ込んでいたのだ。

「フフンッ!」

決意を固めたかのように鼻息を荒くし、少女の股間から顔を起こした國兵衛はおもむろに、この部屋を間仕切っている左方の襖へとその顔を向けながら、手を二回叩いた。

(パンパン!)

静かな部屋だけにそれは大きく響いた。すると、ほとんど間をおかずに、國兵衛が見詰める襖が静かにゆっくりと開いたのだ。

「はい、何でございましょうか旦那様」

開かれた襖の向こう側にはスヱが座して頭(こうべ)を垂れていた。先程から襖越しに國兵衛からの呼び付けをじっと待ち受けていたようだ。

「これスヱ、例の用意だ」

「はい、すぐにお運びします」

そう言ってスヱは再び襖を閉め、隣部屋からスタスタと足音を遠のかせていった。

実は、國兵衛が宿泊の際に用いられるこの八畳の和室は、たった一枚の襖で仕切られたすぐ隣りがスヱと絵里可の部屋になっていた。つまり、日頃の絵里可は世話役のスヱと寝起きを共にしているのだ。これはスヱが絵里可の躾の為に決めたことだ。男性から愛撫され結合を遂げる甘美な「性の味」をまだ十二歳にしながら覚えてしまった少女が、國兵衛不在のときに自慰行為等で自身の肉体を勝手に慰めないように監視しているのである。同様の理由から國兵衛不在のときは、少女の入浴とてスヱが必ず付き添っている。

そして、このような部屋の配置は、今でも絵里可にとってかなり辛いものがあった。何しろ國兵衛に可愛がられてつい漏らしてしまう喘ぎ声が、すべて隣の部屋のスヱに『筒抜け』なのだ。いや、たった一枚の襖などでは、國兵衛と結合したときにあそこから生じる湿った恥ずかしい音まで丸聞こえなのである。しかも、スヱは國兵衛の起きている間は眠りもせず、襖の裏でじっと座って控えている。つまり、絵里可と淫らな行為を遂げることだけを目的にして國兵衛がこの屋敷を訪れている以上、彼女は世話役の老婦に、生まれて初めてのつたない喘ぎ声ばかりか、これまでにその蒼い肉体に訪れたすべてのオーガズムの回数を物語る感極まった黄色い絶叫に至るまで、一つ漏らさず聞き尽くされてしまっているのである。最も秘密の増える思春期という多感な年頃にかかわらず、もはや絵里可にプライバシーなど皆無なのだ。

「パパ・・・・、なにかあるの?」

いつもの愛し合う行為がこのまま始まるものと思っていた少女は、しばらくの沈黙を置いた後、國兵衛とスヱの意味不明な遣り取りに疑問を抱き、そのままそれを國兵衛に尋ねた。

「ああ、ちょっとした道具をな・・・・」

そんな老人の返事に絵里可は言葉を呑み込んだ。

(ひょっとして、またお浣腸なの? それとも・・・・)

既に絵里可の十二歳の肉体には、國兵衛に捧げていない部位などどこにも残ってはいなかった。大型浣腸器による強制排泄、アナルエキスパンダーによるアナル開発は勿論のこと、國兵衛とお尻の穴で交合を遂げた回数も既に十指を超えている。そして、年老いてスタミナに欠ける國兵衛はたまに、育ち盛りで元気溢れる十二歳の少女に対して、そのスタミナ面での少女のアドバンテージを完全に奪うことを目的として、バイブやピンクローターなどで結合を図る前に少女を何度も絶頂に追い詰めることがあったのだ。

(・・・・どうしよう、また変な声をたくさん出しちゃうわ・・・・、そうしたら明日の朝、スヱさんに・・・・)

技巧に長けた老人に、それこそ淫技の道具まで使って肉体を責め抜かれては、元気盛りとはいえ、まだ蒼さの残る十二歳の肉体にはとても堪ったものではない。絵里可は夜通し喘ぎ続けることになる。が、余りに我を忘れて喘ぎ続けると、翌朝、少女はスヱと顔を合わせるのがとても恥ずかしい。少しでもはしたない喘ぎ方をしていたら、國兵衛が帰った後、それを聞いていたスヱからイヤミたっぷりの小言を言われるからだ。しかし、それが判っていても自分ではどうしようもない。死ぬほど凄まじい感覚なのだ。オシッコを漏らしてしまわないだけまだマシなのである。

しばらくすると、襖越しに畳を擦る足袋の音が絵里可の耳に届き始めた。スヱが戻ってきたのだ。そして、静かに襖が開いた。

「旦那様、お待たせをいたしました」

「うむ、ここに持ってきなさい」

「はい、ただいま」

國兵衛にそう命じられたスヱが、何やら大きな黒いカバンを運んでくるのが布団に横たわる絵里可にも見えた。今まで少女も見たことのないカバンだ。

絵里可はすぐ傍までやってきたスヱからプイと顔を背けた。特に具体的な行為の最中でもないので、恥ずかしいからという訳ではない。が、たとえそれが躾役の老婆であっても、國兵衛と睦み合う寝床に第三者が割り入ってこられることには、いささか抵抗がある。とかく難しい年頃なのだ。

黒いカバンを國兵衛のすぐ目の前に置くと、スヱはまた隣り部屋へ引っ込んでいった。が、盛り上がっていた老人との閨のムードも、絵里可にしてみればスヱの登場によってたちどころに興醒めである。何より今宵も、すぐそこに見えるその襖の裏手にスヱが息を忍ばせて控えていることが、絵里可にもしっかりと理解できてしまったのだ。既にその心の内に多感で繊細な思春期の自我を芽生えさせている十二歳の少女は、とても再び「ソノ気」になれそうもない。

ところが、

「絵里可・・・・、パパは絵里可と出会えて本当に幸せじゃ。だから、これからも絵里可のすべてが欲しいんじゃ、ずっと・・・・ずっと一緒に仲良くしような」

國兵衛がそう言いながら、再びまじまじとした熱い眼差しを絵里可に注ぐ。

「パパ・・・・」

すると、あっという間に絵里可は老人の真剣な眼差しに心揺さぶられ、その大きな瞳に老人の顔を揺らめき映すようになってしまった。そして、濃厚な接吻が再び始まる―――。

(んっ、ングッ、ん・・・・)

國兵衛の顔が真上から重なり、濃厚な口付けを受け止め続ける絵里可の口内には老人の唾液が先程よりも速いペースでどんどん流し込まれていく。

飲み下す頃合を諭すかのように、國兵衛の右手のひとさし指がそっと、少女の咽元に近いその細い首筋を上から下へ優しくゆっくりと撫でた。すると、それに従うまま、少女の咽元がコクンと溜飲の音を鳴らし、小さな咽仏の蠢きを國兵衛の指先にはっきりと伝えた。

―――その時刻、午後十一時十一分。

この時の絵里可は、まだ本当に何も知らなかった・・・・。だからいつも通りに、いや、たとえ道具を使われることになるにせよ、國兵衛に自分の体を思う存分たっぷりと可愛がってもらい、そして國兵衛を受け入れ、受け止め、そのまま、まどろみに任せて眠ってしまえばいいと安易に考えていたのである。ましてや少女は今宵この屋敷に、國兵衛以外にもう一人の賓客が招かれており、今しがたカバンを別室から運んできたスヱの手引きで、既にこの寝室の襖のすぐ裏手にまで通されていたなどとは夢にも思ってはいなかったのだ。

 

〈―――絵里可、十二歳―――。

          それが“子供のまま”でいられた最後の夜・・・・〉 

 

この直後に始まった老人からの超変態的行為こそ、そして、やがてこの寝室に姿を現す第三者の存在こそが、絵里可の肉体に、もはや後戻りの出来ぬ事態を引き起こすことになるのだが、それは十二歳の未熟な肉体に施されるには余りにも過激で悪意的で、しかも残忍すぎるものだったのである・・・・。

 

 

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《注意》

この物語はすべてフィクションであり、登場する如何なる人物、団体、国家、人種、地名及び地域等、すべてが架空のものです。また、男性にとって有利とも受け取れる女性の心情に関する心理描写、及び身体機能の記述は、すべてが事実と異なる誤ったものです。

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