ブルセラ受難 〜お嬢様の危険な御奉仕〜   栗本アキラ 著

 

 

 それは、ある夏の日のこと。

強い日差しがアスファルトに陽炎を立たせ、ここ連日の記録的な猛暑を一層引き立たせるように、辺りには蝉の鳴き声が響き渡っていた。

そんな中で、この暑さを思わず忘れてしまうような、少女たちの愛らしい笑い声が聞こえてくる。

聖R女子学園。

明日から夏休みということで、終業式を無事終えた生徒たちが校舎から出てきていた。この学園は、初等部から高等部まであるのだが、各部によって制服が色分けされている。可愛らしいセーラー服が、黄色、水色、薄紫といった具合に分かれていて、その水色の制服を着た・・・つまり中等部の少女が、なにやら校門のところで黒服の男と話し込んでいた。

「では、詩織お嬢様。本日は・・・」

「ええ、ごめんなさい、急に決まってしまって・・・今日は電車で帰りますから」

どうやら、迎えの車が来ていたようだ。しかし、こうした光景は、比較的金持ちたちの集まるこの学園では、別にめずらしいことではなかった。

「いえ、ボランティアとは立派なことです。では、お気をつけて」

「はい。そんなに遅くはなりませんので・・・」

夏休み中に行われるボランティア活動。その初日に詩織たちのグループが当たってしまったようだ。迎えの車が立ち去るのを軽く見送りながら、向こうで待っている同じグループの友人たちの元へ走っていく少女。

詩織は、少しぼーっとした感じの少女であった。人から頼まれるといやとは言えない性格で、よく面倒な仕事を押し付けられてもいた。今回のボランティアは、一応全員参加であったが、これが推薦制などであったら、まちがいなく詩織が選ばれていたことだろう。しかも、かなり箱入りに育てられていたため、少々大人びた口調に反して、まだ幼さの残るあどけない少女は、人を疑うということをまったく知らない子でもあった。

そんな詩織であったが、その容姿は誰もが認める美少女であることもまた事実だった。肩まで伸びたさらさらの髪を揺らせながら走る小柄の少女。制服のスカートが少しでも風になびこうものなら、道行く男たちの目を思わず止めずにはいられなかった。

「遅いぞ、詩織ぃー」

「はぁ、はぁ・・・。お待たせー」

友人たちの元で息を切らせる詩織。少し走っただけで汗が流れ出てくるようだ。まさしく夏、真っ盛りであった。

詩織たちの行き先は、街の外れにある老人ホームだった。

ホームの掃除や、洗濯といった仕事を主に行っているようだ。割と手馴れたもので、てきぱきと作業をする少女たち。早く終わらせて帰りたいという気持ちも手伝っていたのだろう。

そして、無事に仕事を終わらせ、帰り支度をしていたときのことだ。

「詩織ー、まだぁ?」

「ええと・・・。ごめんなさい、お先にどうぞ・・・」

いつものように、モタモタしている詩織。そんな詩織をやれやれといった感じで見つめる友人たち。

「じゃ、お先ねー」

「はい、さようならー」

こうして、詩織ひとりを残して、友人たちはそれぞれの帰路へとついて行くのだった。

そして、ようやく詩織の帰り支度も整ったときのことだ。

「あっ・・痛たたた・・・!」

突然、従業員のおばさんが床にうずくまった。

「おばさん!? どうしたの?」

あわてて駆け寄る詩織。

「あー、ちょっとお腹が・・・痛・・!」

「大丈夫ですか? こっちに・・・」

詩織は、おばさんを医務室まで運んで行きベッドに寝かせてあげた。

「ふぅ、ありがとう。もう大丈夫だから・・・」

少し落ち着いた様子に、ほっとする詩織。

「でも、困ったねぇ・・・これから、届け物があるのに・・・」

「お届け物・・・ですか?」

「ええ、この書類なんだけど・・・」

おばさんの話によると、この近くに住んでいる一人暮らしの老人の所まで行くことになっていたらしい。大事な書類を渡さないといけないとのことだった。

「じゃあ、私が代りに行ってあげます」

「えっ? あんたが?」

「ええ、そう遠くないし・・・」

「でもねえ・・・」

おばさんは、何か困惑しているようだ。それも、詩織の顔をじろじろ見ながら。

「?」

「ああ・・・、じゃあ、お願いしようかね」

「はい」

「でも、玄関先で手渡すだけでいいからね」

「はい」

「絶対、家の中へ入っちゃだめだよ!」

「はい?」

詩織は、おばさんの言うことが何かよく分からなかったが、書類を受け取ると地図に書かれた家へと向かうため、ホームの門を出るのだった。その後で窓から心配そうに見つめるおばさんの姿がある。

「大丈夫かねぇ・・・あの爺さん、かなりのスケベだから・・・」

さすがにホームの従業員が、こんな悪口を中学生の少女に言えるわけもなく、ただその後姿を見守るしかないおばさんであった。

 

 

 

 

 しばらく歩いた後、詩織は目的地へとたどり着いていた。

その家は、林の中にひっそりと建っていた。木造立ての割と大きな家だ。詩織は、玄関の呼び鈴のスイッチを押してみた。

ピンポーン。

家の中では、呼び鈴の音に邪魔臭そうに起き上がる老人の姿があった。

「なんじゃい。このクソ暑いのに・・・」

ぶつぶつ文句を言いながら、そっと窓から外を覗く男。押し売りでも来たのかと思ったようだ。しかし、玄関でたたずむセーラー服の美少女の姿を見ると、途端に目の色が変わってくるのだった。

「おお、あれは、聖R女子・・・!」

なぜかこの老人には、その制服から聖R女子学園の生徒だとすぐに分かったらしい。その理由は後に判明するのだが・・・。

外では詩織が待ちくたびれていた。

「お留守かなぁ・・・」

そして、とうとう踵を返そうとしたときだ。

「ああ・・・! なんでしょうか?」

不意に、家の中から老人の声が聞こえてきた。

「あ、お届け物を頼まれてきたんですが・・・」

「そうですか。すまんが、中まで持ってきてくださらんか、今ちょっと手が離せなくてな・・・」

「え? は、はい・・・」

詩織は、おばさんの言ったことを思い返していたが、この場合はしょうがないだろうと思い、玄関へと進んでいった。

「おじゃましまーす」

ガラガラと玄関の戸を開けると、どんよりとした空気が流れていた。ゆっくりと中へ入っていく詩織。

「あのぉ・・・、おじいさーん」

「ああ、こっちじゃ、こっち・・・」

奥の部屋から老人の声がする。詩織は靴を脱ぐと、てくてくとそこまで歩いて行き、そっと部屋の襖を開けてみた。

「あ、おじいさん!?」

なんと、部屋の中では老人が引っくり返って倒れているではないか。首をこちらに向けて、何か言っているようだ。

「だ、だいじょうぶですかぁ?」

「いや、なに・・・ちょっとつまづいてな、たいしたことは・・・」

どうやら、このスケベな老人は、あわよくば下から少女のスカートの中を覗いてやろうと画策していたようである。しかし、心やさしい少女は、そんなこととは微塵にも思わないのであった。

詩織は、あわてて老人の前まで駆け寄ると、その頭にそっと手を当てるのだった。

(おほっ・・・!)

予想以上の展開に、心弾ませる男。

床に倒れた老人の顔の真ん前で、片膝を立ててしゃがんだため、詩織の股間は老人から丸見えになってしまっていたのだ。純白の下着につつまれた、ほんのり盛り上った少女の股間を眼前にして、老人の目が嬉しそうに泳いでいた。

「あの、大丈夫ですか?」

心配そうに見つめる詩織。しかし、自分の股間を凝視する老人のいやらしい視線には気付いていないようだ。

「お、おお・・・。へへ・・・大丈夫だとも。ときに、お嬢ちゃん、何年生だい?」

「あ・・・中等部の1年です」

「ほおお・・・そうかそうか、1年生・・・。くっくっく・・・」

なにかとても嬉しそうにしている老人に、詩織はきょとんとしていた。

こうして、しばらく少女のスカートの中身を堪能していた老人だったが、ようやくゆっくりと起き上がりはじめるのだった。どうやら、見ているだけでは欲望のおさまりが利かなくなってきていたようだ。

「おおっと・・・!」

起き際、わざとらしく詩織の方へとよろめく老人。

「あっ、あぶない!」

健気にも、身体全体で男を支えようとする少女。

「ああ、ありがとう。助かったよ」

「いえ・・・あ・・・」

なにげに男の手が詩織の胸に当てられていた。しかも、わずかにキュッと揉まれた気がしたのだ。しかし、偶然だと思いさほど気に止めない少女。

こうして詩織は、ほんの僅かの間に、この老人のスケベ心を愉しませてしまったわけだが、同時に目敏い老人によって、自分のおっとりした性格をも見抜かれてしまっていたのだった。無論、詩織はそんなこと知る由もない。

「気をつけてくださいね、おじいさん」

にっこり笑う少女。その愛らしい笑顔に、思わず胸が高鳴る老人。これはもしや、千載一遇のチャンスではないか・・・年老いた男の欲望が数年ぶりに燃え上がろうとしていた。

「あ、ああ、面目ない。ところで、届け物とは・・・?」

「あ、はい。これです、どうぞ」

詩織は、書類の入った封筒を老人に手渡した。無造作に中身を取り出した男は、その書類を見ながら、なにやらよからぬ思いを巡らせていたようだ。そして、不意に膝を落とすと、ガックリとその場でうなだれてしまった。

「ど、どうしたんですか?」

詩織の問いに、老人がゆっくりと答える。

「これは借金の催促じゃ。でも金が足りん・・・あと少しなんじゃが・・・」

「お金?」

「そうなんじゃ・・・。週末までに作らんと・・・」

老人が言うには、悪い人に騙されて週末までにお金を用意できないと、この家が取られてしまうとのことだった。勿論、デタラメであることは言うまでもない。

「まあ。お気の毒に・・・私にできることがあればいいのですが、お小遣いは家の方針でもらってないし・・・」

「いやいや、お嬢ちゃんにお金をもらおうなんて、そんなことは思っとりゃせんよ。ただ・・・」

老人は、何か言いたげであった。じっと詩織の方を横目で見ている。

「なんでしょう? 私でよければ・・・」

「いや、こんなこと頼むわけには・・・。」

「どうぞ、言ってください」

「そうですか、ではちょっと待っててくだされ」

詩織を背にした老人はニヤリと笑うと、奥から何か小さな箱を持ってきた。

「これなんじゃが・・・」

「まあ、これは・・・」

なんとその中には、女性物の下着がいくつか入っていたのだ。

「これを高く買ってくれる人がおってな・・・」

老人は、じっと詩織の反応を見つめる。さすがに、これはまずかったかなと少し思っているようだ。しかし詩織の反応は予想外であった。

「ああ、廃品回収ですね。知ってます」

「お、おお。そう・・・、そうなんじゃ。へっへ」

少女の言葉に嬉々とする男。

「これを、売るわけですか。でも、あんまりお金にはならなかったような・・・」

「へへ・・・いや、それが世の中には奇特な方がおってな・・・。で、お嬢ちゃんにも協力してほしいんじゃが・・・」

「え? でも、いまは廃品は持ってないので・・・」

「じゃから、今着てるやつでお願いしたいんじゃ」

きらりと老人の目が光る。

「え?」

「ええと、あんたぐらいなら、もう、しておるんじゃろ? その・・胸に・・・」

「あ・・・、ブラ・・ジャー・・・・ですか?」

「そう! それ!!」

老人の目がさらに輝く。

「えー、でもぉ・・・」

「たのんます。この年寄りを助けると思って」

この言葉に詩織は弱かった。しばらく考えた後、恥ずかしそうに答える。

「わ、わかりました。じゃあ、ちょっと後を向いてもらえますか?」

「はい、はい」

喜び勇んで回れ右する老人。そして、詩織は制服の中に手をやると、ぎこちない手つきでブラジャーを外すのだった・・・。

 

 


《注意》

この物語はすべてフィクションであり、登場する如何なる人物、団体、国家、人種、地名及び地域等、すべてが架空のものです。また、男性にとって有利とも受け取れる女性の心情に関する心理描写、及び身体機能の記述は、すべてが事実と異なる誤ったものです。

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